留学に興味はあるけど、どこの国を選んだら良いか迷っているという人は多いのではないでしょうか。その場合、なんとなく良いイメージだったからという理由で留学先を決めるのも悪くないかもしれません。しかし、数多くの候補を様々な側面から比較し、留学先を絞っていくことは重要です。
本記事では芸術・美術分野での留学について、お勧めしたい国を紹介します。日本2校・チェコ3校の大学で、合計15年の学部生・院生としての在籍実績を持っている筆者の経験をもとに、各留学先の特徴と予算を比較します。
それでは始めましょう。
アメリカ
留学を考えた上で多くの人が思い浮かぶアメリカ。設備や教師陣など教育水準の高さはもちろんのこと、“英語圏”であることも魅力的です。外国人留学生が世界一多い国だけあって、現地学生も留学生を快く受け入れてくれるでしょう。留学期間は、総合大学や単科大学だと大体4年程度、専門学校だと半年~2年程度です。
芸術・美術分野においてアメリカは、現代アートの本場であり、世界トップのアート市場があります。そのため、芸術・美術分野の留学生の数は多く、学生の質もピンからキリまでと言えるでしょう。もちろん日本人も多く滞在しています。NYに住む日本人の友人は「日本語だけでやっていけるほどの環境がある」とも言っています。
費用については、学費・滞在費など年間合計500万円以上かかります。SVAなど有名私立大学だと年間費用が700万円程度かかるという話もあります。
治安は、一部地域を除き概ね良好です。しかし、銃社会のためトラブルはご法度です。
イギリス
有名な学校が数多くあり、“英語圏”であることが魅力です。日系人も多く生活しているため、生活に関しての沢山の情報が日本語で得られます。
日本で有名な若手作家に「ロンドンの美術大学に留学経験がある」イメージがあるのは、なぜでしょうか。ロンドンには無料で入館できる美術館が多くあったり、多数の著名アーティストが住んでいたりと、滞在中は文化芸術に触れる機会をたくさん得ることができます。つまりイギリス留学は、アートに打ち込める環境が全て揃っていると言っても過言ではありません。留学期間は、最短2週間から4年間と希望にあったカリキュラムが多いのも特徴。
イギリスは、ロンドンを中心に、伝統とコンテンポラリーアートの融合に適した国です。そして、政府や市民もハイアートからアンダーグラウンドまで容認しているように思えます。これはアートシーンとしても、とても重要なことです。
費用については、学費・滞在費はアメリカに次いで年間400万円程度と高額です。
また、近年はEU離脱問題など政治的な問題も表層化しています。 EUから離脱したことを受け「今後は、ビザや費用の面で留学に不向きになるのでは?」と個人的に思っています。
イタリア
素晴らしい芸術文化を発信してきたイタリア。絵画文化や建築文化を先導してきたイタリアの町並みからは、多くのものを得ることができるでしょう。過ごしやすい気候や、美味しい食材など、土地の魅力に溢れた国でもあるので、長期滞在に最適だと思います。
しかし、イタリア留学で躓く人が多いのは言語の問題。学校の授業のほとんどがイタリア語で行われ、私生活でもイタリア語が必要な場面が出てきます。また、イタリアの伝統を学ぶ為の留学としては良いと思いますが、この留学経験をイノベーティブな現代アートへ繋げられるかどうかは、個人の力量によると思います。
費用については、先述の2カ国に比べかなり安く済ませられます。学費は年間60万円~100万円程度、滞在費などの諸経費も年間60万円~100万円程度。年間予算は、合計200万円程度です。
治安については、スリなどの軽犯罪が非常に多いと言われています。
フランス
美術文化だけでなく、世界史の中心を担ってきたフランス。ルーブルやオルセーなど世界的な美術館があり、音楽のコンサートも数多く、芸術活動のインスピレーションを受けられることは間違いないでしょう。教育水準も世界最高峰といわれているため、留学によって自身の学習分野のスキルアップも期待できます。現代アートも日本より身近にあります。
しかし、留学するにあたりフランス語の習得は必須です。授業のために習得が必要なのはもちろんのこと、日常生活でもフランス語が話せないと困ることが多いです。
費用については、年間の学費は国公立で35万~50万円程度、私立で150万円程度が相場です。イギリスやアメリカと比較して安く済ませられます。しかし滞在都市によっては、生活費が問題になります。世界的に見ても家賃や物価の高いパリでは、滞在費だけで年間200万円近くかかってしまうようです。
ドイツ
美術館、博物館の数が世界一のドイツ。近代では音楽を始めとして、様々な芸術活動の新たなカルチャーが生まれた地でもあります。実は、外国人のビザ取得が他の国に比べ容易で、多くの外国人が暮らしているという一面もあります。留学先としては授業の質の高さにも魅力があり、国立大学では現役の現代アーティストが教授に着き指導をしてくれます。
しかし、ドイツでも問題になるのは言語の壁。日常生活ではフランスよりは言語習得の必要性は下がりますが、授業のためにドイツ語を習得する必要があります。ちなみに、都市部の若いドイツ人のほとんどは英語が流暢に話せます。
ベルリンは特に日本人留学生に人気の都市です。それは90年代~2000年代に留学した日本人アーティストたちが、ベルリンの魅力を日本へ広めた為だと推測しています。ちなみにベルリンは最も日本人アーティストが多いヨーロッパの都市です。
費用については、学費は年間0~15万程度。滞在費も年間80万円程度で生活でき、年間の合計予算は100万円程度です。学費が安いから授業の質が低いということはありません。
>「ドイツ、現代アート、大学、語学」 海外留学生: 宮野賢介さんへインタビュー 前編
>「ドイツ、現代アート、大学、語学」 海外留学生: 宮野賢介さんへインタビュー 後編
>【ドイツ】アート留学、語学勉強について教えてもらいました。
チェコ
東欧の真珠と呼ばれるチェコの首都プラハは街自体が芸術作品のように魅力的な街並みです。街中に彫刻作品が置かれており、コンサート会場や美術館、ギャラリーなどもたくさんあります。ヨーロッパの中心に位置しているため、近隣諸国からの留学生も多く滞在しています。また、周辺の国へのアクセスも良く、留学中にヨーロッパ諸国へ旅行に行きたい人にも最適です。
そして一番の魅力は学費。条件付きではありますが、国立大学は学費がかかりません。また、物価も日本に比べると安く過ごせます。一定数のアジア人も住んでおり、筆者が滞在中に差別を受けた経験はほとんどありません。治安もかなり良く暮らしやすい国です。
自分に合う留学先を選ぼう
治安に関しては、どの国も一定の注意は必要ですが極端に悪いところはありません。それ以外の要素で比較すると、下記の通りでしょう。
フランス・イタリア> ある程度予算があり、現地特有の文化活動に専念したい人
チェコ・ドイツ> 予算は低いが、第3言語習得の時間はある人
筆者が個人的に勧めたい国はチェコ、ドイツです。物価、学費が安いのはもちろんのこと、「アーティスト活動に専念できる国」の観点で考えたら、外出するだけでインスピレーションを受けられる2カ国だと思っています。また、第3言語を習得するのは多大な労力がかかりますが、後々大きなアドバンテージとなることは筆者が保証します。
渡航前に英語を学ぶなら
現地語の習得は渡航後でも遅くはありません。しかし現地語が十分にできない場合、大学受験には英語が必要になります。留学先では学生同士が英語で会話することもあるでしょう。つまり渡航前の、ある程度の英語力は“必須”です。
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海外一般大学への合格実績はもちろん、芸術系大学の実績も多数あります。ぜひ渡航前に英語力を身につけ、留学をより意義のあるものにしてください。
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