みなさんは自身の作品をポートフォリオにまとめていますか?「現代アーティストを目指している」「芸術家になりたい」という方にとって、ポートフォリオはとても重要です。キャリアの少ない若手アーティストは、ポートフォリオ次第で評価が変わると言っても過言ではありません。
これから全2回にわたり、ポートフォリオの概要から作成方法を紹介します。第1回目の今回は、ポートフォリの重要性と役割についてです。
あくまでも筆者の経験をもとにした意見ですので、参考程度に読んでいただけたら幸いです。
ポートフォリオの役割
ポートフォリオ(portfolio)とは、自身のこれまでの作品や展覧会をまとめた「作品集」のことです。アート業界における、ポートフォリオのおもな役割は以下の3点でしょう。
2.コミュニケーション手段
3.応募書類
それでは、それぞれ詳しく説明していきます。
1.活動のアーカイブ
これまでのアーティスト活動を記録するアーカイブとして使えます。アーカイブからは、自身が辿ってきたアーティストとしての道のりが見えます。アーカイブの重要性については、以前の記事で言及しています。ぜひ合わせてご覧ください。
現在では、Instagramを始めとするSNSでアーカイブを残す人もいます。しかし、筆者は自身のポートフォリオサイトの開設を勧めます。一手間かけたオリジナルサイトは、アーティストとしての本気度を示せます。以下の記事では、なるべく低予算で簡単に作成できる方法を紹介しています。
2.コミュニケーションの手段
アーティストに求められるものの一つが、プレゼンテーション能力です。自身を売り込むチャンスは常に転がっていてます。飲み会の席で展示が決まることも珍しくありません。
このような突如やってくるチャンスに備えて、いつでも自分の作品を見せられるようにしておきましょう。媒体はスマホでも紙でも構いません。瞬時に見せられることが大切です。
そして作品の良し悪しは、一瞬でジャッチされます。「どんな作品を作るのか?」「どんなアーティストなのか?」が一目で分かるように作りましょう。
3.応募書類
さまざまな場面で、応募書類としてポートフォリオを求められる可能性は高いです。コンペやコンクール、助成金の申請、進学試験、就職活動など、挙げればきりがありません。応募を決めてからポートフォリオを作成するのは容易ではありませんが、普段から用意しておくとすぐに提出できます。もちろん応募先に合わせて、若干内容を変更しますが、土台さえできていれば労力は最小限です。
またこのようなケースでは、作家個人のマネージメント能力や行動力も、ポートフォリオから判断されるかもしれません。人間性を吟味される可能性を念頭に置き、ポートフォリオの作成に取り組みましょう。
良いポートフォリオとは
ポートフォリオを作り始める前に「どのような作品集にするか」方向性を決めましょう。今までつくった作品を詰め込むだけでは、良いポートフォリオにはなりません。知り合いのギャラリストにポートフォリオを見るポイントを聞くと「作家の世界観があるか、その魅力が作品から伝わってくるか」という意見をよく聞きます。
自分の分野や方向性が分からないという人は、ひとまずポートフォリオ作成は置いておいてください。アートに関連するしないに関わらず、なんとなく興味があるものをたくさん見ましょう。さまざまな方面からインスピレーションを受け、作品を作り続けるうちに、一定の傾向が出てくると思います。それがあなたの方向性です。
自分の方向性を探る手段として、気になるワードをメモして溜めてみても良いでしょう。久しぶりにメモを見返すと、以前も同じことを考えていたと気が付くかもしれません。一貫した考えは、あなたの根底にあるものです。
自己理解を深めるツール
ポートフォリオの方向性が決まったら、とりあえず作ってみましょう。初めて作るという人はPowerPointかkeynoteで以下の情報を並べれば充分です。拙くても良いので作ってみることが大事です。
・タイトル
・制作年
・画材とサイズ
・作品コンセプト
最初は作品数を揃えるだけで精一杯かもしれません。さらに、改めてポートフォリオで作品を見るとクオリティの低さに落ち込むかもしれません。
しかし、ポートフォリオを通して作品を俯瞰すると、自分について深く理解できるようになります。自分が作品を作るとき、どのようなパターンがあるのか、又どのような考えをするのか。客観的な視点が得られます。
第2回では、より本格的なポートフォリオの作り方・組み立て方を紹介します。それでは次回の記事でお会いしましょう。