アートをオンラインサイトで売る秘訣

アートストラテジー

クリスタ・クルーティエ著 / 2020年11月23日

昨今、デジタル環境が一般化することによってアートをオンラインで販売することは容易い
と語られることが多くなったと感じないだろうか?

アートをオンライン販売する為に、
『ツイートをしてリンクを貼ったりして注目を集めることで、称賛され何千人ものフォロワーゲットすることができる』と。

しかしながら、上記のことを達成するのは難しいことだ。

だからといって、上記を達成することは不可能な訳ではない。今回の記事ではそのことを伝えていく。

 アーティストがオンラインで自分の魅力をアピールできる時代になってきたにも関わらず、
アーティストはアート活動以外にも仕事もしなければならないのが現状だ。

ギャラリーがアーティストたちの運命の握っていた頃もあったが、ギャラリーに所属しているからといって、そのギャラリーがプロモーションをしてくれる訳でもなかった。
しかし現在は、オンラインでの販売が可能になったことで、自分のキャリアをコントロールすることが出来る様になり、より広い世界に自らのアーティストの情報を共有することができるようになった。

アーティストの持っている魅力をよりアピールしていく為に必要なこと

「何を収益化させたのか」それを決めるのはアーティスト自身だ。
もちろん収益化以外の目的があって自らの情報を共有したいならばそれも可能だ。

オンライン販売でのルールはアーティストが自由に設定でき、
何をもって成功とするのかも、アーティスト自身で決めることができる。

・収益化させたいのは、クリエイティブなアイディアかもしれない。
・自分のアート作品を見せるための新しい手段を模索しているのかもしれない。
・クラウドファンディングで資金を調達して、ネットワークを構築することかもしれない。
・あるいは、アーティストのアートで流行をつくらせる事かもしれない。

アートをオンライン販売させる際には、ぜひ、自身に正直になり取り組んでいただきたい。

オンラインアートマーケティングにはコミットメントが不可欠

オンラインのセットアップにも時間とリソースが必要で、それらをスムーズに行う為にも下準備は大切だ。
スケジュールも立て、それを守らないといけない。

これらは体制さえ整えてしまえば、難しいことではない。しかし軌道に乗せるのにはかなりの時間がかかる。

筆者は常々、アートの仕事は疾走ではなくマラソンだと言っているが、オンラインでのアート販売はまさにそれだ。

作品を投稿したからといって、買い手がつく訳でもない。そこの関係を築いていくにはどうしても時間がかかる。

この記事を読んで、「自分には向いていない」「ポートフォリオとしてのwebサイトを持ち、プロモーションはしない方がいい」と思ったとしても、それは仕方がないことだ。

しかし、オンラインでアートを販売する方法を学ぶことは、強力なキャリア構築のツールであり、オーディエンスを増やす、きっかけとして最適なことだ。

それらを学ぶ事でギャラリーに頼らず、自分の魅力を維持しながらファンを惹きつけることができる。

今日、多くのアーティストがオンラインでプロフィールを作成しているが、それはオンラインの新しいファンを持つ為にも重要なことだ。ソーシャルメディアでアート界のスターたちは、今では自分の言葉で世界に向けて、自分に魅力を発信するようにもなっている。

時代の流れ

19世紀、アートはサロンで販売し、20世紀には、コマーシャルギャラリーが市場を牽引した。しかし現代になると、すべての兆候がインターネットに向けられていった。なぜなら、オンラインでの美術販売数が爆発的に増えているからだ。Hiscox Reportの調査によると、この市場は2019年までに63億ドルの規模になると予測されている。

とはいえ、オンラインでのアート販売が、昔ながらの対面販売に取って代わることはないだろう。

なぜか?

その理由は、アートの購入は美的感覚や感情的な選択であり、コンピュータの画面を通してそのような繋がりを作るのは非常に難しいからだ。また、多くのバイヤーは財布を開く前に実際に作品を確認したいと考えるのが自然だ。

あなたが既に、自分のwebサイトを持ってるとする。これはアート作品をオンライン販売する上では、とても重要なことだ。

アーティストの中には、オンラインでしか自分の作品を公開していない人もいるが、それは非常に惜しいことだ。なぜなら、自分のwebサイトを持つということは、プロとしての自覚の表れるからだ。

筆者が、オンラインで作品を購入する際には、まずアーティストのウェブサイトをチェックしてから購入するようにしている。そしてそれは、他の購入者も同じような行動をしているだろう。だから、他の活動と一緒になっても構わないので、自分のwebサイトを持つべきだ。また芸術活動と日常の生活に大きな隔たりがない限り、webサイトは1つにするようにした方が賢明だ。

その時にドメインが気になるポイントになっていくだろう。もしがフリーのwixやweeblyを使用しているなら、ドメインの購入をお勧めする。

ドメイン名の購入する際に、既に使われているドメイン名であれば、高価なドメイン名にすれば問題なく済む。
しかし、cristacloutier.comのように、.comで名前を買えないのであれば、より低価格の.meドメイン購入を検討する必要がある。また、自分の名前にartやartistという言葉を加えたり、スタジオの名前を使ったりすることもできる。あなたのドメインが、記憶に残り、綴りが簡単で、見つけやすいものであればそれでいい。

多くのアーティストがSaatchi Onlineのようなポートフォリオサイトを使ってオンラインでアートを販売している。

もしあなたが、オンライン販売することに興味がなくても、自分のwebサイトがあれば、このアート活動をしていることを周りに、伝えることができる。

また、他のサイトで自分の作品を紹介するのは構まわないが、それだけではいけない。webサイトを構築する際に、「あなたのための博物館」である必要はないことを覚えておくことだ。初めてクレヨンを手にしてから、これまでに手がけたすべての作品を公開する必要はない。

ただし、必ず「自己紹介ページ(CVもしくはabout)」を用意すること。このページは、ホームページに次いで2番目にアクセスされるページになる。そして、そこにはあなたの経歴やアーティスト・ステートメントを掲載していただきたい。

Webサイト全体を「同一ブランド」でまとめる

あなたのアート作品がユニークなものならば、色、フォント、ナビゲーションツールを使いこなして、webサイトにもそれを反映させるべきだ。

更に、アーティストであれば自分のwebサイトに一番お気に入りの画像を掲載したくなるだろう。しかしwebサイトはあなたの作品を視覚的に反映したものでなければならない。

多くのアーティストは、オンラインで作品を販売することを恐れている。

誰かに盗用されることを恐れて、画像の掲載を躊躇う。私も最初はこの不安を笑い飛ばしていた。ネット上に画像が掲載される時点で、すでに縮小・凝縮されていて、ひどい複製品になっているからだ。

しかし、私は間違っていたのだ。

私のコースに参加しているワーキング・アーティストの一人に、ネット上で画像を盗まれて大変な思いをし、更に、最近私自身の作品も盗まれてしまった。

ネット上の画像を守るのは本当に難しいことだ。しかし、オンラインでの画像の盗難は現実に起こっている。そして作品が盗難されるとその後の回収が、とても面倒なことになってしまう。幸い、このような話は稀だ。だからといって、webサイトを持たなかったり、オンラインでのアート販売を怖がったりする理由にはならない。

あなたがその対策の為にすべきことは、毎月の画像検索のスケジュールを立てることだ。その方法についてはGoogle検索していただきたい。あるいは、Digimarcのようなサイトで画像に電子透かしを入れることもその一つだ。

さて、話はウェブサイトに戻る。

サイトの最も重要なタスクの一つは、訪問者の電子メールアドレスを取得することだ。なぜなら、オンラインでアートを販売するには、メールリストが一番効果的だからだ。

RSSフィードでもなく、FacebookやInstagramでもなく、あなたが100%完全にコントロールできるもの、それは直接的に相手にメールを送ることだ。

だからこそ、アートをオンラインで販売する際には、メールリストを構築することが何よりも重要なのだ。

では、どうやって相手のメールアドレスをゲットするのか?

答えはいたってシンプル、友人や家族、出会った人に、メーリングリストに入れてもらえないか聞いてみる。誰かがあなたに名刺をくれたら、あなたはその人をメーリングリストに加えてもいいかどうか尋ねてみていただきたい。相手の明示的な同意なしに単純にリストに追加することはいけない。なぜなら、それは非倫理的なことだから。

メールリストを作成する最も一般的な方法の1つは、業界関係者が“倫理的な賄賂 ”と呼ぶものだ。このモデルは読者もよく知っていると思う。レポートや電子書籍などを無料でダウンロードできるリンクをクリックして、アクセスする前にメールアドレスを教えなければならなかったことは誰にでもあるだろう。これらは非常に効果的だ。

それで、あなたは登録してくれた人たちに何を提供することができるのか?

それは、あなたの作品、観客、そしてあなたが進みたい方向性に異なる。

・例えば、画像を集めた小さなPDFカタログかもしれない。
・デジタル壁紙として使用できる画像かもしれない。
・美術史や美術技術、作品に関連したものかもしれない。

つまり、あなたのマーケティングプランに合致した意味のあるものであれば、何でも構わないのだ。

例えば、あなたの作品が気まぐれで軽やかなもので、子供部屋に合うような作品を作っているのであれば、中世の美術史に関する電子書籍は作らないだろう。しかし、作家と組んで短い童話を書き、それをプレゼントすることはできるだろう。

では、あなたのオーディエンスにとって、どういったことが意味を持つのだろうか?

アートをオンラインで販売するためのwebサイトを立ち上げたら、それを軸にしたものにした方がいいだろう。つまり、何度もアクセスしてもらうきっかけになるようなものを制作しなければならない。

そのためには、どのようなものがいいのか?代表的なものはブログだ。ブログがあれば、メルマガで配信することができる。

筆者が「Working Artist」のブログ「Jump」で行っているように、ニュースレター内にブログ全体を掲載したり、ティーザーを書いてからサイトにリンクを貼ることもできる。

その他のアイディアとして実際にやっていたことをいくつか紹介する。

筆者が美術品を販売していたときは、月曜日に特別価格を設定し、その日に特定の作品が割引になるので、それを目当てにサイトに来てくれる人がいた。ソーシャルメディアを使って、お誘いや謎かけをして、好奇心を煽っていたりもしていた。

それ以外にも、私の知り合いのアーティストは、自分のスタジオにライブ映像を流していた。彼のwebサイトでは作業の様子を見ることができるようにしてあった。

また、彼のスタジオはお店のウィンドウに設置されていて、通りすがりの人も見ることができるようにしていた。実際、ビデオでできることはたくさんある。How to ビデオを作ることや、自分が作ったアート作品について語る短いビデオを作ることなどだ。そのほかにも、Twitterをよく使う人なら、サイト上でTwitterのライブ配信うまく活用できるだろう。つまり、気になるようなとっかかりを作るわけだ。

さて、話をニュースレターに戻そう。

ブログを書いているのであれば、その発信方法はニュースレターになる。繰り返しになるが、ブログを読んでもらうのにRSSフィードやソーシャルメディアに頼ってはいけない。実際の記事やリンクをニュースレターで送ろう。

ブログを書かないのであれば、ニュースレター方では、スタジオからのニュース、今後のショー、新しい作品の制作、助成金の獲得など、理想的な顧客が興味を持つような情報を提供するといいだろう。

どれくらいの頻度で配信しているだろうか?内容が充実していて、スケジュール通りに配信できれば、頻度は大した問題ではない。

スケジュールを管理するには、エディトリアルカレンダーを使うのが一番だ。これは、オンラインでアートを販売する際に時間などを管理する方法で、すべてをスケジュール化してくれる。

アートをオンラインで販売する際には、一貫性が重要

The Working Artist以外では、他のトピックについても書いているが、私のブログではアーティストであることについて書いている。なぜなら、それはあなたと私がマッチする情報だからだ。

だからこそ、今度はあなたがオーディエンスとどこで交わることができるかを考えてほしいのだ。

アートをオンラインで販売する際に理解しておくべきことは、誰もが常にあなたの作品を気に入ってくれるわけではないということだ。

あなたの作品がギャラリーに飾られているときは、その作品について話しかけてくる人はたいていとても親切だ。

しかし、匿名性の高いインターネット上では、人々は思いやりのないコメントを投稿することがある。思慮のないコメントを投稿したり、否定的なメールを送ってきたりもする。

批判からの乗り越え方

批判された場合は、できる限り直接的に対処し、前進すること。自分の作品に対する誰かの反応を恨んだり、自己嫌悪にならないことだ。

あなたのメーリングリストから退会する人も出てくる。それは当たり前のことだ。

彼らが退会したことをあなたが知れるのは、あなたがリストの管理やニュースレターの送信にMailchimp(アメリカにあるメール配信ツール)などのプラットフォームを使用しているからだ。Mailchimpのようなプラットフォームを使うと、プライベートなメールでもグループメールを送ったり、スパムとしてタグ付けされたりするのを避けることができる。それに、その方がプロフェッショナルにも見えるというのもある。

また、新規登録者数、退会者数、リンクをクリックした人の数、開封率などを把握することができるのもMailchimpの特徴だ。これらはすべて、オンラインマーケターが行うことだ。

測定するべき理由

開封率など、オンライン・マーケティングでは、多くの統計データに失望することになるだろう。しかし、これをネガティブに受け止めないでいただきたい。そしてそれらの確率を上げていく為にメーリングリストの構築に力を入れていることも理解しておいてもらいたい。3%~6%が、ほとんどのメルマガの平均的な開封率とされている。だから、もし開封率が20%だったとしても、開封しなかった80%の人たちに時間を割くわけではなく、開封した20%の人たちの為に時間を割くべきだ。

多くの人が自分のwebサイトにソーシャルメディアボタンを設置しているが、筆者はそれを設置するかどうか悩んだ末に設置した。 筆者は自分のサイトから視聴者を引き離すようなリンクがあるのを好まなかった。読者もその点は各々、考える必要がある。

また、筆者はFacebookを多用しているが、オンラインでのアート販売をFacebookだけに頼るのはお勧めしない。なぜならFacebookなどのルールは細かく変更されるからだ。もしそれらの規制に引っ掛かりでもしたら、閉鎖されるかもしれない。それに、Facebookのビジネスページを取得した場合でも、お金を払ってブーストしない限り、ほとんどの人があなたの投稿を見ることができない。

だからこそ筆者は、オンラインでアートを販売するための最良の方法は、メーリングリストに焦点を当て、ソーシャルメディアやアートイベントを通じてそれを構築し、ニュースレターを通じて作品を共有することだと言っているのだ。

ソーシャルメディアは重要な役割であるが、販売には向いていない。

ソーシャルメディアは、エンゲージメント、ブランド構築、オーディエンス構築のためのものであり、webサイトにアクセスしてもらい、メーリングリストに登録してもらうためのものだ。そして、ニュースレターは、その関係を構築し、育成し、アート作品を販売する方法だ。

さて、あなたは自分のwebサイトを持ち、ドメインを取得し、サイトをデザインして、自分について紹介するページを作り、メーリングリストを作成し、メーリングリストに登録してもらうための準備をした。そして、あなたのページを再訪してもらいやすくするための計画を基に、ニュースレターの配信予定を立て、コンテンツに関する編集カレンダーを作成してみた。

ここで、Google AnalyticsやStatcounterなどのツールを使って、何人の人があなたのページに来たのかを追跡することを考えてみていただきたい。Google Analyticsについてはこの記事の範囲を超えているが、覚えておいてほしいのは、測定しないものは改善できないということだ。だから、最低限、何人の人があなたのサイトを訪れているかを測定してみることだ。

オンラインアート販売の計画を実行する前の最後のステップは、すべてのリンクとコンタクトフォームが機能するかどうかを確認することだ。すべてのデバイスで確認テストを行ってみることだ。
また、すべてのリンクをPC、Mac、iPad、携帯電話で試し、さまざまなブラウザでリンクを試してみることだ。

面倒で楽しくないことはわかっているが、潜在的な顧客があなたのリンクを使えないでいるよりかは、楽しくないほうがいいだろう。

オンラインで販売したいアーティストにとって、この確認テストはプロフェッショナルなステップだ。

また、SaatchiやFine Art Americaなどのオンラインギャラリーや、ここ数年で出現した数多くのオンラインアート販売サイトで作品を展示することやソーシャルメディア戦略、Amazon、eBay、Etsyなどの他のサイトを利用することで、このオンラインアートマーケティングキャンペーンを補うことも可能だ。

しかし、オンラインギャラリーが生まれては消え、ソーシャルメディアがルールを変え、他のサイトがコントロールできなくなっても、あなたの真の力は自分のメーリングリストを育て、管理することで発揮されることを忘れないでいただきたい。

これこそが、アートをオンラインで販売する真の秘訣なのだ。

寄稿 The Working Artistより
https://theworkingartist.com/selling-your-art-online-1-2/