第1回 アーティストの事務仕事編:「作品一覧の作り方」

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皆さんこんにちは。私はヨーロッパを中心に10年間以上、フリーランスの彫刻家、現代アーティストとして活動しています。基本はアート中心の生活で、その他自由に自分が選んだ仕事をしています。しかしそれでも制作をしている時間は全体の3割程度です。あとの7割はパソコンを使った事務を中心とした仕事です。

様々あるパソコン仕事の一例としては、コンペや助成金に応募、マーケティングやリサーチ、メールや電話でのコンタクト、そして自分の作品のアーカイブなどを作っています。

アーティストの事務仕事アーカイブ編と題して、全6回、パソコンを使った事務仕事を紹介します。

第1回:アーカイブ制作から分かること、作品一覧の作り方

第2回:プレス一覧の作り方

第3回:プレゼン資料、プレゼン映像

第4回:略歴

第5回:コンペリスト

第6回:ジャンル分けした写真フォルダ

ものづくりを仕事にしている私たちにとって、つくったものの管理はとても重要です。

そのために自分の作品や活動のアーカイブ作成が必要になってきます。

今まで作品の管理などを蔑ろにしていた人はこれをやることで、今まで頑張ってきた自分の道程が見えてきます。

私はこういったデータの蓄積を二十代後半から独学で行ってきました。それを全てシェアしようと思います。一般的な方法と異なるかもしれませんが参考になれば嬉しいです。

これから本格的にアートの道に進んでいく人は、「今までつくった作品が数個しかない」「雑誌掲載された記事などが少ない…」など、逆に整理しやすいうちに始めていきましょう。

アーカイブ制作からわかること

アーカイブ制作はかなりの人が実はできていません。周りのアーティストでも、こういったデータ仕事が苦手という情熱頼りの人が多くいます。

しかし、今まで頑張って作ってきたものをリストにすると色々なことが見えてきます。

  • 活動の中ですぐデータが取り出しやすいのでコンペや助成金応募などの仕事がスムーズに進む

  • データを客観視して個人の表現活動を見られる

私はアーカイブ制作を通して上記のようなことを強く実感しています。それでは実際にアーカイブ内容を説明していこうと思います。

作品一覧の作り方

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本記事ではまず、作品一覧について説明します。上の写真は作品一覧の一例です。(都合により一部見せられないところがあります)

日本語と英語でタイトル、制作年、材料名、コンセプト、どこで展示したかの展示記録、値段、販売記録、作品所在地などを書いています。

それでは一つずつ説明していきます。

作品タイトル

まずは作品のタイトルです。

タイトルをつける上で下記の点に気をつけたほうがいいでしょう。

同じ名前をつけない

日本語と英語でつける

今後何十個も何百個もつくっていくかもしれない時に、毎回新しいタイトルや名前をつけるのは大変ですよね。

製造番号のように番号をつける人もいるかと思います。

ともあれ同じ名前は混同してしまうのでいけません。

何個もタイトルをつけていったら色々な作品を一覧にしてみられるので、自分を見返すという意味でもいいですね。

そしてもう一つ。

日本語と英語で訳した場合の名前を常に意識してつけましょう。それは全く同じ内容の翻訳でなくても構いません。

どんな人がそのタイトルを見るのか、もしくは見てもらいたいかを想像し、その人たちの側に立って名前をつけましょう。

制作年

制作年を把握しておくことは重要です。自身の作品をアーカイブしていくことは過去の作品の所在をはっきりさせるためです。そしてこの作家が年々どう変わっていったかと考察できることも重要です。今後ギャラリーや美術館と関わって仕事をしていく時に大切なデータになります。

コンペティションやアーティストインレジデンスプログラムの応募などの時に、過去10年以内に制作した作品の写真提出可能、といった条件などがある事もあります。把握できていることは仕事の効率化に繋がります。

メディア、材料

作品写真だけでは材料がわからないことが多いです。コンペや展示の時に作品の材料の指定があったりします。

また未発表作品のみ応募ができるコンペは多いです。その作品をホームページなどに公開してあるのか、なども書いておくと後々助かります。

技法

工芸関係、グラフィック関係、サウンド関係の人は技術が能力として評価されることが多いジャンルです。

また、このコンペの審査員にはこの技法を使えることをアピールしたい、というときもあるので、記載しておいたほうがいいでしょう。その他メモもあってもいいと思います。

価格

円、ユーロ、ドルなどその値段を決めた時の単位で書いています。

ジャンルにもよりますが、値段は変動することがあるのでとにかく記録を残すために値段を決めた年も書きます。

(その値段はいつの時点のものか、いつ値段を変更したか、ギャラリーとの配分はどうしたのかといったことを記載)

値付けに関しては他の記事にも書いています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

https://artsurviveblog.com/art-work-log/art-pricing/255/
 

販売状況

販売記録、寄贈や廃棄などを記載しています。

展示履歴

どこでいつ展示したか記録しておくのはとても重要です。作品に興味がある方やギャラリストから、この作品が今までどこで展示したか全部教えて欲しいと言われることがあります。

所蔵場所

自分の倉庫、ギャラリー、美術館やコレクターの名前、などを記載しています。

コンセプトテキスト一覧

コンセプトはもちろん重要です。日本語と英語両方あるといいでしょう。最初から上手く書けなくても、一旦メモのように残しておくでも良いでしょう。とりあえず何か書いておくことが大切です。似てる作品の時はとりあえずコピペでも大丈夫だと思います。(笑)

以上が作品一覧に記載している内容です。

フォーマットは本人が使いやすく汎用性があるものがいいいと思います。サバイブログではNumbersで作っています。基本的に本人しか見ないもののため、ご自身が一番使いやすいソフトで制作するのがいいかと思います。

【まとめ】作家生活にはアーカイブは重要

最初に述べたとおり、制作3割パソコン7割になってしまう理由が理解できたのではないかと思います。

しかし上記のアーカイブは作家生活にとって、とても重要なものです。さらに、社交的に人と交流したり、勉強や考え事をしたりとフルタイムの仕事時間以外にもやることがあります。

しかし、作品や商品の整理と管理ができているかどうかは、最初にも述べたとおり、信用問題と仕事の効率化に繋がります。もし作家として高みを目指したいと思っているなら、アーカイブはしっかりと残していくのがいいと思います。

第2回ではプレス一覧の作り方を解説します。

関連記事

1回 アーカイブを作る意味、作品一覧の作り方

2回 プレス一覧を作る意味

3回 プレゼン資料の作り方

4回 略歴の書き方 コツ

5回 コンペリストの作り方

6回 写真フォルダのジャンル分け

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