美大卒業後の仕事って?作家活動を続けながらみんなどのような仕事をしているのか、解説します

アートワークログ

こんにちは、画家の牧弘子です。絵を描いたり、ものを造ったりするのは好きで得意だから美大に進学したい!でも高い学費を払って美大に進学しても将来生活していけないのでは?そう思って美大への進学を諦めてしまう人もいるかもしれません。

私も大学進学の際はそういった疑問を抱いていたので、今回のブログでは美大を卒業した後作家活動を続けながらみんなどのような仕事をしているのか見ていきたいと思います。

美大は学費が高い 

まずは学費について・・・

学部によって異なりますが、一般的な私立大学の平均年間授業料はおよそ90万円、国立大学は53万円です。

(国立大学、公立大学、私立大学で、子どもの学費にはどれくらいの差がでる?

https://news.yahoo.co.jp/articles/6d9aed77f138c6806e0c59d0f4d4803bbd8c8a90

それに対して東京の有名私立美大の平均年間授業料はおよそ160万円、国立大学である東京藝大はおよそ90万円。美大では専門の施設や設備に費用がかかることもあり、どうしても高くなってしまいます。

(【最新版】東京五美大の学費を比較! #美大 https://gakumado.mynavi.jp/gmd/articles/54135

同じ美大でも学部によって進路は異なる

美大の中でもデザイン系の学部は比較的就職先は見えやすいと思います。例えば出版会社やデザイン事務所、TV、映画、アニメなどの映像関係の会社、ゲーム会社、広告関係・・・。選べる仕事は多岐に渡ります。

しかしファインアートと呼ばれる絵画や彫刻科を出た後、その先にどんな仕事が待っているのか見えにくい部分もあるかと思います。

それぞれの美大の就職状況を見ると、油彩、彫刻学科に進学した学部生のおよそ半数以下が就職を希望し、実際に就職できています。その就職先を見てみると、出版社、映像関係の会社、広告関係、アパレル業界、学校の教員として働く人がみられます。

しかし一方、半数以上の学生が進学したりアルバイトをしながら作家活動を続けています。各大学の卒業後の就職・進学状況は大学のHPに載っているので、進学を希望している美大の卒業後の進路状況は事前に把握しておきましょう。

就職するのか、しないのか

皆さんの想像に難くないと思いますが、大学を出てもすぐに画家や彫刻家などの芸術家として一人で生活していくのは難しいです。住む場所にもよりますが、家賃を含めた1ヶ月の生活費は10~20万円が平均的に必要になってきますし、+材料費もかかります。

なので就職を選ばなかった多くの学生が進学するか、アルバイトをしながら作家活動を続けるという選択肢を取るのです。

就職する道を選んでもそうでなくとも、どちらにもメリットデメリットがあります。

メリットはアルバイトに比べて圧倒的に給料が高い、安定している、福利厚生がある、ボーナスがもらえる。

デメリットは思うように時間が確保できない他、A.I.R(アーティスト・イン・レジデンス)に参加したり、好きな時に海外に行くことが難しいです。また展示やその他の企画も好きな時にやりにくいなどがあります。また週末に制作をしようと思っていても仕事で疲れていて思うようにスイッチのオン・オフが切り替えられない、などが挙げられます。

安定した収入を得ながら時間を見つけて制作活動を続けるか、時間の確保を優先してアルバイトをしながら制作を続けていくのか、分かれ道となってきます。どちらを選ぶべきか、じっくり考えて選択しましょう。

具体的に、どういう仕事があるのか 

ここからは就職を選ばなかったとして、時間の確保を優先しつつ作家活動を続けながらアルバイトをしていく人におすすめのアルバイトをいくつかご紹介したいと思います。

ちなみに私も就職はせず、大学卒業後は様々なアルバイトを経験しつつ作家活動を続けてきました。全てを経験したわけではありませんが、経験した、あるいは人から聞いた範囲で書いていきたいと思います。

本題に入る前に、美大ではどんな資格が取得できるのでしょうか。

・中学校、高等学校教員免許

教員免許の取得のためには必修科目の履修に加え教育実習に行ったりと、作品制作の時間はそれなりに削られますが、教員免許は比較的簡単に取得でき、将来役立つ可能性も高いです。

常勤講師にならずとも、非常勤講師として教壇に立つ場合にも教員免許は必要な場合が多いです。

・学芸員資格

学芸員は博物館、美術館、などに勤務する職員のことを指し、資料を集めたり作品の展示・保管、調査を仕事としています。学芸員資格取得のためにも必修科目の履修に加え実習に行く必要があり、その後認定試験に合格する必要があります。

(学芸員になるには  https://www.bunka.go.jp/seisaku/bijutsukan_hakubutsukan/shinko/about/gakugeiin/)

おすすめのアルバイト

それでは本題に入りたいと思います。

この2つは美術系専門の求人を出しているサイトです。美術関係の仕事を探す場合にはぜひ見てみてください。

・アートとデザインの現場 https://artdesignjobs.bijutsu.press

・ネットTAM https://www.nettam.jp

以下はおすすめのアルバイトです

・中学校、高校の非常勤講師

・美術予備校、絵画教室、カルチャースクール講師

・美術館スタッフ

・デザイン関係

・イラスト関係

・画材屋

・中学校、高校の非常勤講師

自分がこれまで学んできた専門分野を活かして働くことができます。給与は受け持つ授業コマ数によって変動します。学校によって給与形態は異なりますが、1コマ大体2500円~5000円くらいのところが多いようです。非常勤講師の場合教員免許は必須ではないですが、求められる場合が多いです。非常勤講師として働くには働きたい地域の各自治体に登録しておくか、もしくは大学の先生や友人、先輩からの紹介が多いです。

・美術予備校、絵画教室、カルチャースクール講師

この仕事は美大卒業生にとって一番身近に感じる仕事ではないでしょうか。美大に入学する際、おそらくほぼ全員が何らかの絵画教室や美術予備校に通った経験があるかと思います。その経験を活かして働くことができます。

こちらもそれぞれで給与形態は異なりますが、都心で事務ではなく直接指導に関わる業務だと時給1500円~能力給が相場だと思います。受験生を指導するとなると拘束時間もかなり長くなりますし、プレッシャーもかかりますが、その分多く稼ぐことができます。なので有名予備校などだと競争率も高く、人からの紹介で勤務する人が多い印象です。

私もいくつかの場所で指導にあたった経験がありますが、自分が出来ることでも人に指導するとなるとまた別の能力が求められます。慣れるまでは時間がかかりますが、とてもやりがいを感じる仕事です。

田舎よりも都会の方が給料が高いのは当然ですが、田舎の絵画教室の求人を見ていると、給与+野菜給があるところもあるようです。これはとてもユニークですね。

・美術館スタッフ

美術館での仕事は多岐に渡ります。まずは学芸員。学芸員になるには学芸員資格が必要です。学芸員資格は上記で述べたとおり美大で取得可能で、この資格を持っていると美術館や博物館で学芸員として働くことができます。

学芸員の資格がなくても美術館や博物館で働く事はできます。展示室の監視や事務作業、ミュージアムショップの店員などです。美術館で働いていると、お客様から展示作品のことを尋ねられたりするので(特に監視員)展示作品に関しては毎回解説できるよう会期前に研修などを行っているようです。そのため美術作品に関して詳しくなります。

・デザイン関係

パソコンを使ってwebや広告などのデザインがある程度できるなら、求人サイトに出ているデザイン会社でアルバイトをするほかにも、クラウドソーシングで働くという方法もあります。この方法なら在宅で仕事をすることができ、さらに自分が働きたい時だけ仕事をすることができるので、自分の制作をしながら仕事をすることができます。

・イラスト関係

イラストを描くことができるのであれば、デザインと同じくクラウドソーシングで働くことができる他、フリーのイラストレーター として働くという方法もあります。ただしフリーのイラストレーターは星の数ほどいて、競争率はかなり激しいので、副業としてイラストレーター をやっていくというのは難しいです。

それでもイラストを描いてお金を稼ぎたいという人にはココナラやBASE、STORESなどは誰でも簡単に登録することができ、無料で始めることができるので最初始めるにはおすすめです。ただしどのサイトを利用してもそれなりに手数料がかかるため、少額の販売では稼ぐことが難しいです。

なのでまずはこれらのサイトを利用してある程度実績を積んだら、それらの実績をポートフォリオにまとめてフリーで仕事をしていくといいと思います。

【第1回】アーティストのポートフォリオとは?アート・美術における役割・概要

【第2回】アーティストが考えるポートフォリオ作り方&組み立て方

・画材屋

この仕事も自分の今まで学んだ知識を活かしつつ、さらに新たな画材に関する知識を多く取り入れられるのでおすすめです。

在学中から身につけておいた方がいいスキル 

上記のような求人サイトをざっと見ただけでも気づくかと思いますが、全くなんのスキルも持っていないよりかは、何らかのスキルがあった方がもらえる給料も高くなります。

作家活動を卒業後も続けていくならば、材料費、アトリエ代…とてもお金がかかります。制作の時間を多く確保するためにも、短時間で多くのお金を稼げるに越した事はありません。そのためにも時間に余裕がある大学在学中から将来役立つスキルを身につけておくと良いでしょう。

英語力

多くの場所で役立つのは英語力です。英語が話せると自分の将来にも必ず役に立ちますし、仕事の幅も広がりますので学生のうちからコツコツ勉強しましょう。

写真、映像編集

写真編集に関してはPhotoshopとIllustratorが使えると非常に役立ちます。どちらもAdobe(アドビ)社のグラフィックツールです。また学生のうちだとこれらのソフトが入ったCreative Cloudが最大65%OFFで利用することが可能です。学割が効く学生のうちに色々触ってみましょう。

またワード、エクセル、パワーポイントなのが入っているofficeにもアカデミック版があり、学割での購入が可能です。購入時には学生証が必要です。Office 2019 アカデミック版は、Microsoft公式サイトからは購入できませんので、ネットショップやヤマダ電機、ビックカメラ、 ヨドバシなどの店頭からPOSAカード版を購入することが可能です。

映像編集もできるといいです。自分の制作過程を一本のプロモーションビデオにまとめると、作品をよりアピールすることができます。一番手軽なのはApple社が無償で提供しているiOS専用の映像編集ソフトであるiMovie。またこちらは有料ですが、上記で書いたAdobe社のCreative Cloudを学割で購入していればAdobe Premiere Proという映像編集ソフトが使えます。

([2020最新]映像編集おすすめソフト8選(PC向け)https://www.somethingfun.co.jp/video_tips/edit_soft_2019)

・運転免許

大学卒業後に通うのは時間的に厳しくなります。取っておいて損はないので時間のある学生のうちに取得しておきましょう。

美術関係以外の仕事

もちろん美術関係の仕事ではなく、全く無関係な仕事でお金を稼ぎながら自分の作品制作をする人もいます。美術関係の仕事じゃないと自分のこれまで身に付けたスキルも活かせないし、自分の将来にも役立たない、と考える人も多くいるでしょう。その意見も分かりますが、自身の経験から言って、そんなことも無い、と言いたいです。

視野が広がり、自分の制作に活かせる

ずっと同じ美術業界にいては視野は広がりません。美術以外の世界の方が圧倒的に広いのですから、そこから作品作りのヒントを得られるでしょう。

交友関係が広がる

美術をやっていると人に話したら、きっとあなたのことを面白がってくれるでしょう。そこから交友の輪を広げて仕事に繋げたり、作品を買ってくれるお客様にもなり得ます。

これまで芸大生や美大生の「とりあえず進学」「とりあえず保険で教職をとる」「とりあえず卒業してアルバイトをする」というパターンが多かったですが、そうではなく大学在学中を意義ある目的の為に時間を使うことを目標に様々なアーティストに一問一答形式で質問し、多様な生き方を提案しているサイトを最後にご紹介したいと思います。

生き方ポートフォリオhttps://geidaibidai.com

まとめ 

いかがですか?将来芸術家を目指したいあなたの将来が少し見えてきたでしょうか。芸術家を目指す事は確かに大変ですが、自分のやりたい事、好きな事があるというのは何よりの宝です。多くの方にその宝を大事に持ち続けてもらいたいと思います。