こんにちは。アートサバイブログです。
私は今まで生まれ育った日本を拠点に演劇とダンスをしてきましたが、海外でも活動をしたい、留学がしたいと長年の思いがありました。この話題が出ると「ワーホリはしないの?」と聞かれることも多々ありましたが、私のよくわからないプライドや偏見、不安から「それはしないかな。」と答え続けてきました。しかし現在私はワーホリビザを利用してチェコの首都プラハに住み、仕事としてこの記事も書いています。
ここからは「ワーホリはしない。」と言い切っていた私が前言撤回しワーホリビザを取得のために行動していった中での体験談を踏まえつつ、チェコのワーホリビザに必要な書類を振り返っていきます。
目次
– ワーホリの概要
一般的には”ワーホリ“と呼ばれていますが、これは”ワーキング・ホリデービザ“の略称です。ビザ(=査証)は国が自国民以外に対して、入国しても問題がないと示す証書です。条件や滞在できる期間はビザによって様々です。
ワーキング・ホリデービザは、2つの国の間ので取り決められた制度で相手国の青年に対し,休暇目的の入国と滞在が許され、その旅費や滞在費を補うために働くことが出来るビザです。文化や生活様式を体験してもらうことによって、国同士の相互理解を深め友好関係を促進することが目的です。日本のワーキング・ホリデー制度は1980年のオーストラリアに始まり、現在では約27カ国に及んでいます。ほとんどの国の場合対象の年齢は申請時18~30歳とされ、期間は1年間とされています。このビザは旅することに加え学ぶこと、働くこと、暮らすことが出来るので他のビザと比べると自由度が高いのが特徴です。
– 私がワーホリビザ申請の決心をするまで
まず分かりやすいようにその当時の私の状態についてお伝えしておきます。
・自分の実力や活動、生活の現状に満足していなかった。
・自分のやりたい分野が日本国内ではマイナーでヨーロッパの方が盛んだと考えている。
・留学経験者の勧めで下見がてら旅行をしたいと思っている。
・国内外で活動をしたいが海外での基盤がない。
・コロナウイルスの影響で国際交流関係のアート事業が少ない。
・英語を話せるようになりたい。
などの理由で海外に行きたいがなかなかきっかけがない状態、むしろどちらかというときっかけを待っている状態でした。そんな時に現在のこの仕事を見つけました。雇用期間は1年間でワーホリビザを利用しての滞在が条件でした。この求人の応募締め切りが5月30日。しかし、私は5月28日に31歳を迎えてしまうため、採用の合否がわかる頃にはワーホリの申請ができなくなってしまいます。こうなったら合否に関係なくチェコに行く!とワーホリビザ申請に向けて走り始めたのでした。
– チェコのワーホリビザ申請必要書類
まずお勧めしたいのは、時間にゆとりを持つことです。と言うのも私は所謂ギリホリ(=年齢制限ギリギリでワーホリに行くこと)でした。チェコのワーホリビザは31歳の誕生日前日が申請の期限で、私がワーホリ申請を決意した時にはその期限まで2ヶ月を切っていたのです。ワーホリビザに必要な書類を手に入れるには平日に動けなくてはなりません。会社に勤めている場合は退職したり有給休暇を利用し半年前から準備する人も少なくないようです。EU圏内へのワーホリビザにはオーストラリアなどと比べ必要書類が多い傾向があります。時を戻せるならば4ヶ月前から準備していればあんなにバタバタせずに済んだなと思います。
それでは、私がチェコのワーホリを申請した当時2022年5月の段階で用意した書類を紹介します。
注意してほしいのは、大使館が求める必要書類やその取得の仕方は日々変化しています。私が申請した時も参考にしたブログなどとは必要なもの、かかる時間、手順などが違っていて、それに翻弄され申請直前で心が折れかけました。これを読んでいる方の中でワーホリビザを申請しようと考えている方がいれば、大使館のHPに書かれている内容が正しい情報ですので、それ通りに早めに書類作成をしていくといいでしょう。
1.旅券=パスポート
2.顔写真 3枚
3.預金の残高証明書
4.残高証明書を発行した口座に紐付いたクレジットカードやデビットカードのコピー
5.犯罪履歴証明書
6.ビザ申請書
7.英文レター
8.旅行医療保険加入証明書 (申請が承認されビザを受け取るまでに用意)
1.パスポート
予定滞在期間よりも3ヶ月以上長い有効期限があることが必須です。様々な書類を用意するにもビザ申請の予約を大使館にするのにもパスポートが必要になってくるのでまず最初に準備するのがおすすめです。ちなみに私はここでパスポート更新をしなければならず10日ほどのロスタイムがありました。
2.顔写真
同一のもので35×45mmを3枚用意すると指定があります。裏にはローマ字で氏名を記入。私は、パスポート更新のために撮った写真の余りを使いました。最近では、データをスマホに送ることもでき、出国後にパスポートを無くしてしまった時などのためにプリントアウトして持ってきました。
3.預金の残高証明書
渡航後1ヶ月は生活できる資金33,000チェココルナ(約164,780円)を持っていることを証明するために提出します。チェコ語に翻訳することが必要です。預金残高証明書の発行には通帳や印鑑、本人確認書類、手数料など必要なものがあるので調べてから銀行に行きました。私は、東京の都心部の支店を訪れましたが2時間程度待ちました。銀行や支店によっては予約できるかもしれないので事前に問い合わせてみるのもいいでしょう。英語で作成してもらうようお願いし、申請したその日に受け取れました。それから、大使館の翻訳関係のページの中の業者の一つにメールで連絡し、チェコ語訳をお願いしました。1週間でPDFで翻訳が届きました。
4.上記の残高証明をした口座に引き落としがかかっているクレジットカードなどの写し
海外でも使えることが条件です。これまた渡航中にクレジットカードの有効期限が滞在している間に切れてしまうので新しくクレジットカードを作りそちらを印刷し提出しました。
5.犯罪履歴証明書
かなりこれに時間を割かれました。この書類を申請するのは各都道府県警察本部なのですが、それには大使館からの発給依頼書が必要。大使館に封書で必要な書類を送り取り寄せます。返送された発給依頼書とパスポート、氏名と住所が確認できるもの(自動車の免許書や住民票など)を持参し住んでいる地域の警察庁本部に行きます。2週間くらいで受け取ることができました。
更に受け取った犯罪履歴証明書にアポスティーユ認証と言って『これは公的な機関が発行したものですよ』とお墨付きをもらう必要があります。アポスティーユ認証はコロナウィルス感染拡大防止のため郵送でしか受け付けていませんでした。(郵送では申請予約日までに手元に返ってくるか怪しかったのでここで私は半泣き。返送されるまでも生きた心地ではありませんでした。)犯罪履歴証明書、アポスティーユ申請書、返送用レターパックなどを外務省に送ります。注意したいのが犯罪履歴証明書は開封すると無効になること。ここで開けてしまうと折角かけた時間も水の泡です。チェコ語への翻訳が必要ですがこれは大使館で申請時に職員にやってもらうものなので絶対に開けてはいけません。
他にも本人確認は、返送用のレターパックに書かれた住所を持ってされていたりするので申請した人と違う人や住所に届けられないなど細かい点で注意が必要です。
6.ビザ申請書
大使館のHPから印刷し必要事項を記入します。こちらはチェコ語で記入する必要があり、翻訳サイトを利用しました。記入することが多く、チェコ語にも慣れてはいないので思いのほか時間を要しました。
7.英文レター
以前は申請時に面接があり、そこで何故ワーホリに行くのか、何をするつもりなのかなどを答えていたそうですが私の時は面接の代わりに英文で同じ内容の文書を提出する必要がありました。大使館宛の文章など書いたことがなかったので、ネットで検索しいくつかの文書を参考に書き上げました。日本語の場合とは宛先や名前などを書く場所が違うのでこちらも時間がかかりました。
8.旅行医療保険加入証明書(申請が承認されビザを受け取るまでに用意)
チェコの場合は指定の保険会社が1社のみなのでそこの中から条件に合うものを選び加入します。チェコ国内だけ有効かシェンゲン協定内で有効か、どれだけ補償されるかなどによって値段が違います。こちらは、ビザが発給されると連絡をもらった後にメールで証明書のPDFを送るよう求められました。こちらの加入はネットですぐにできました。
1~7が申請当日に持参することが必要な書類でした。申請の予約前日に大使館の方から、これらの書類のコピーも当日必要であること、原本とコピーをそれぞれまとめてファイルに入れることと、ありがたいことに申請書の写真を送ると確認してくれると連絡がありました。
また上記外で当日、4のクレジットカードの実物を見せられるように言われました。たまたま持って行っていたので提示することができました。
そして、申請から3ヶ月後にワーホリビザがおりた連絡を受け取りることができました。
ビザの受け取りには申請時と違い予約は不要でしたが、大使館を訪れると大使が出かけているからビザを渡せないと言われ出直すことになりました。かなりイレギュラーな事態でしたが、渡航まで余裕があったので無事受け取ることができました。
ビザを受け取ってからも、仕事先に挨拶に行き、チェコでの仕事に向けた勉強をし、飛行機のチケットを取り、歯の治療をし、家を引き払うに伴い手続きをし、荷物を送り、持っていくものの準備をし、渡航直前までバタバタと準備をしていきました。
– 終わりに
ワーホリの仕事でよく耳にする、日本食レストラン、農作業、ベビーシッターなどアートと無縁なものが多いイメージでしたがこの記事を書くにあたり調べてみると、アトリエに弟子入りした方、大道芸をしながらヨーロッパを廻った方もいらっしゃいました。私の知り合いも土日に働きながら平日はダンスカンパニーのクラスに出て頑張っている方もいます。私もありがたいことにこの仕事に在り付くことができ、その人次第で自由な選択ができると実感しました。
ビザを申請するまでも申請してから渡航までもかなり怒涛で疲弊してましたが、振り返ってみるとヨーロッパに行きたいけど行けない段階を脱してもう来ているのだから次は何をしてみよう、ダンスのクラスに出たり舞台を観にいきたいから調べてみよう、仕事の合間に作品も作れるんじゃないかと思考と行動が変わってきました。以前の私にとっては留学や海外での活動は靄がかかりよく見えないものでした。そこから、よく調べ行動することにより色々な物がはっきりと具体的によく見えてきました。1年間の時間のゆとりがチェコの芸術に触れるのももちろん周辺国を訪れることも可能にしてくれます。季節も跨ぐので実際に留学するとなれば1年を通した生活も経験できます。生活のやりくりの工夫も身につき始め、語学の必要性を身もって痛いほど感じています。
留学や海外でのアート活動をやってみたいが踏み切れない、そんな方は少なくないのではないでしょうか。コロナだから、情勢が不安定だから、円安だから、仕事があるから、来ない理由は沢山あります。それは間違ってはいませんし、それぞれの人のタイミングがあります。でも、実際に体験しないと分からないことも沢山あります。1年間海外に住んでみる。長いようできっと短いだろうなと思います。ですが、この時間の中には沢山の可能性があるように見えますし、それを生かすも殺すも私次第だと思います。そもそも生きていて何が起こるかわかりません。今できる可能性に飛び込んでみる、人生もアートをサバイブするのは自分です。そのきっかけにワーホリのビザを活用してみるのも大有りなのではないでしょうか。