クリスタ・クルーティエ著/2021年10月29日
アーティストがビジネスプラン、つまり、事業計画を作成すると、聞くと、
とても難しいように聞こえるかもしれない。
実際、多くのアーティストはビジネスプランを練るために、
しっかりとした教育や専門的な能力が必要であると思い込んでしまっている。
一見、ビジネスプランは、複雑で専門的な能力や知識が必要だと思うかもしれないが、
これから紹介する情報は、アーティストが自身のビジネスを考える上で、
重要な手助けをしてくれるだろう。なぜなら、このプログラムは、
アーティストに自身の目標やそのためにどういった行動をしなくてはいけないかについて
考える機会を与えてくれるからだ。
知らないことに対する恐れ、リスクを取ること、失敗、拒絶への恐れといったものは、
すべてのビジネスに共通するものだ。これまで、アーティストにとってビジネスについて考えることは
自分の活動における一部にすぎないものであると同時に、あまりに多くのアーティストが、ビジネスから身を遠ざけてきた。
だからこそ、アーティストであるあなたは、ビジネスについて考える最初の一歩を、あなたの頭の中で
始めてみてはどうだろうか。自分のアーティストとしての成功を想像し、その成功があなたにとって
どういった意味を持つのか素直に感じてみる。ただし、この時に、数字のことは考えないことだ。
ただ、自分が描いた風景を達成したときに、自分がどういった感情になるのかに浸るのだ。
そして、それは、あなたがプロのクリエイターとして、生き生きしているときに、
あなたがどういった人であるかというビジョンに繋がってくる。
では、プログラムに取り組むことにしよう。
■アートビジネスを定義する
アートビジネスを定義する上で、役に立つのは、ミッション、ビジョン、目標の3つだ。
自分自身に下記のことを問いかけることで、この3つを明確にしよう。
・作品の表現の媒体は何か
例えば、油彩、アクリル、水彩、写真、彫刻、彫金など。
・アート作品はどういったジャンルのものか
例えば、イラスト、絵画、グラフィックデザインなど。
・自分のクリエイティブなスキルの他の可能な用途は何か。
・アーティストとしての活動は、伝統的なギャラリーを通じてのものか。
それとも、より商業的なものなのか、あるいは、フリーランスのように自身で行っているのか。
・作品をどのように見せて販売するか。
・作品を自身のスタジオで限定して販売するのか、それとも美術館、展示会、
パブリックアートで、あるいは、インテリアデザイナーにむけて販売するのか。
それとも、オンラインでのアートマーケティングで販売するのか。
自分のアートビジネスを定義することはあなたが今後、前進していくことの助けることだろう。
■マーケティング戦略を計画する
自分のアートビジネスを定義することができたら、
次に行うのは、マーケティングとブランド戦略を計画することだ。
この2つの戦略は、ターゲットとするオーディエンスにリーチする上で役立つ。
あなたのアートビジネスは、あなたのブランドの個性を表現しているため、
この2つには一貫性があり、明確に定義されているよう心がけるべきだ。
例えば、あなたがポートレート写真家で、コマーシャルな仕事をしたい場合、
あなたのアーティストとしてのブランドは、ユニークな美学が表現された
白黒のマットで仕上げられた写真の方がいいかもしれない。
同じ見え方や印象を抱く写真を紹介し、作品をブランド化させることも有効だろう。
さらに、あなたの略歴、ポートフォリオ、ソーシャルメディアには、
すべてあなたのアーティストとしての全体的な戦略を反映する必要がある。
ウェブサイトは、アーティストとしてのあなたの考え方を反映する強力なメディアだ。
ウェブサイトには、定期的に作品をアップロードして更新するようにしよう。
ただし、これまでに行ったすべてを投稿するのではなく、ブランドとメッセージを維持することを意識しよう。
というのも、仮に、あなたが様々なスタイルで作品をつくることができるとしても、
それを見せることは、あなたのブランドを弱体化させることに繋がるので見せない方が賢明だからだ。
ウェブサイトには、アーティストの略歴セクションを作成して、
あなたのビジョンやこれまでの実績、今後、やってみたいプロジェクトを書き、
そして、そのページには、自分の写真を入れて、人間味のあるものにしよう。
■スタジオから出る
重要なアートの世界の関係は、オンラインでは構築できない。
だから、アーティストコミュニティに参加し、同僚をサポートすることが重要だ。
ネットワークをつくるイベントに参加したり、美術館のオープニングや
アーティストのアートギャラリーに行ってみよう。
■期限付きの目標を設定する
計画のビジョンの作成を開始したので、次に、具体的な目標を設定しよう。
あなたのアーティストとしての目標が、より多くのお金を稼ぐことであろうと
賞を獲得することであろうと、専属作家としてのギャラリーを見つけることであろうと、
決められた目標はあなたにそれらを実現する動機を与えてくれるだろう。
オンラインまたはギャラリーでアートのマーケティングするときは、
“ S M A R T ”の目標をリストアップしよう。
心に留めておくべき“ S M A R T ”の目標は下記のものになる。
・Specific(具体的)
アートビジネスにおける性格な目的、つまり、いつ、どこで、誰と、手元にあるリソース
および追加したい新しいリソースを特定することや
特定の目標を設定することは、ビジネスのロードマップを明確にするのに役立つ。
・Measurable(測定可能)
目標の測定は、ビジネスにおけるタスクの達成具合を知り、それを曖昧にしないために不可欠だ。
・Achievable(達成可能)
短期および長期の目標を設定し、それらを達成するのに役立つ知識とスキルを特定する。
・Relevant(関連性)
設定した目標が最終的なビジョンの達成に役立ちかどうかを特定する。
・Time-bound(期限付き)
目標を達成するためのタイムラインを修正する。
すべてのタスクが数分と数時間の完了タイムラインを必要とするのと同じように、
アートビジネスも同様の原則に基づくのだ。
以上が “ S M A R T ”の説明である。
■アクションプランを作成する
次に、アートビジネスの目標を特定できたら、実行可能なステップに移行していく。
まずは、やりたいことをすべて含めて、項目化しよう。
あなたの意図、ブランディングとマーケティング戦略、あなたの目標を覚えておこう。
そして、あなたが自分の計画を作るとき、より大きなビジョンが、その手助けをしてくれるだろう。
次に、カレンダーを見て、四半期ごとに、コミットできる2つ、3つの大きなアクションを洗い出し、
実行可能なステップで目標を設定しよう。
そして、季節ごとにビジネスやクリエイティブの目標を微調整したり、大幅に変更することもしよう。
あなたの世界が変化するにつれて、そういった調整をすることができるのだ。
行動計画を書類にして、それを更新することを恐れないことだ。
■作品を販売するオファーのリストと価格を設定する
絵画のような有形のアイテム、またはWebサイトのデザインのような無形のサービスを販売する。
この場合には、提供しているものを明確にしよう。
■結論
あなたの計画を頻繁に確認し、成功できるプレーヤーになるために常に自身の目標を心に留めておこう。
そして、アートビジネスについて多くの情報を学び、
アートビジネスの計画に変更の余地を残し、あなたの強みと能力を生かす方法を模索しよう。
また、他のアーティストやアート界の意思決定者から
定期的にフィードバックを受けながら今後のアクションを再調整していくことが望ましい。
しかし、最も重要なことは、行動が計画だけでなく、本当の違いを生むことを忘れないことだ。