現代ではパトロンという言葉はあまり聞かなくなりました。しかし現在でも美術界の中では時折そのようなポジションを経験する作家の話を聞きます。しかしその中には良い経験をした人ばかりではありません。むしろ最終的にはハッピーエンドで終わらないケースもあります。
今回はパトロンの良くない経験、もしくは自身をパトロンと語る怪しい人たちについて紹介しようと思います。
そもそもパトロンとは何か、アートとの結びつきは?ということについてはこちらの書いています。ぜひ覗いてみてください。
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微妙なパトロン(?)とは
最近ではあまり聞かなくなってきましたが、ごく稀に今でも展示会などでパトロンさんがいることを聞きます。
若手、特に美大生にパトロン的なお誘いを持ちかける人がいます。
特に多いのは美大の卒業制作展などで、作品を売った経験が少ない学生に話しかけてきます。
そう言った方の中にはアート作品を買わず口先だけはすごく褒めてすり寄ってきます。
そしてアート以外の何かを求めてくる人もいます。
もちろん純粋に応援してくれようとしている方たちもいます。
しかし頭の片隅に悪質な人たちもいることを忘れないでください。
ここからは対処法とまでは言いませんが、私なら下記の点を気をつけます。
作品を買ってくれたか?
若い芸術家がお金に困っているのは周知の事実です。もし作品を買ったこともないのに都合の良いことばかり言っている人はとても危険です。
お金持ちでたくさんの人脈を持っている、そして自分の作品をとても褒めてくれる。しかし自分の一番安い作品も買ってくれない人は警戒します。 本当に力になってあげたいと思ってくれてるお金持ちの方は、まず作品を買ってくれます。しかし数年間の間でも比較的安い作品を1、2点買ってくれただけならそれはコレクターのレベルにも達していません。
身元は確かか?
ギャラリスト、コレクター、出版関係、様々な肩書きを使い話しかけてきます。しっかりとリサーチするのはもちろんですが、少しでも気になるところがあれば学校の先生や周りの人に相談しましょう。
追加で言えることとして一つあるのは、ギャラリーには焦って所属する必要はないということです。以前、アートプライシングの記事でも書きましたが、アーティストは信用が大きく関わってきます。真っ当なギャラリーかそうではないにせよ所属し、すぐにやめますというのは通用しません。そう言った意味でも一呼吸おき、しっかりリサーチしましょう。
契約は正当か?
パトロンとの関係は基本相手の慈悲的な善為であり、双方に作家活動の充実以外に見返りを求めるものではありません。そういった意味でも契約書を交わすようなことは基本なく、極めて人間の信用関係、もしくは “グレー” な関係が続くことが多くあります。しかしもし、パトロンと何かしらの契約を結ぶ場合は、最低限これらのことは確認しましょう。
作品の所有権の記載について
「人脈が豊富だから作品売ってあげ。預けてみない?倉庫を持っていて管理に困っているなら貸してあげるよ。」
これらの発言には要注意です。例えば、前者についてだと、作品を預ける際に所有権を譲渡する契約になっていないか?一定期間売れなかったら所有権が変更されるなどの記載はないかなどです。
後者に関していうと、預ける際に所有権が共同で持つこととなり、売れた際にはマージンをとる契約になっていないか?ということです。
もしタダで場所を貸してもらい、その作品が売れたらその分のフィーを払うというのは妥当に思えます。
しかし所有権を分割すると、その作品を販売するときに、所有権を分割したパトロンの同意も必要になってしまいます。値段の変更なども難しくなります。そうなった場合トラブルの原因となってしまいます。
作品の販売権はあるか
悪質な契約の中には、販売権を奪うものがあります。簡単にいうと、その人、もしくはその組織(ギャラリーなど企業)を通さないと作品を売れなくなる独占販売権のことです。
もしそのような契約を結んでしまうと、自分が作品を売るたびにマージンを抜かれてしまいます。
ギャラリーに所属したとしても、ギャラリー以外でも作品を自分で売って良いか良くないかは契約次第になります。
制作頻度の指定はあるか
→例えば、アトリエなどをタダで貸してもらうとします。向こうからしてみると、作品をつくり、売ってもらうことを望んでいるでしょう。そのために悪質な人が、”一年に10作品以上は作り販売しないといけない”このような契約をするよう迫るかもしれません。
強制的に作品を作らさせられるのは自分を追い込んでしまいます。
このような契約は気軽に結ばない方がいいでしょう。
まとめ
まだどこにも染まっていない、市場で評価されていない学生など駆け出しアーティストは、悪い大人の標的にされることもあります。甘い言葉をささやき、何かの利益を得ようと考えている人は当たり前にあります。
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