こんにちは。「アートで稼ぐのは難しい?」とよく聞かれます。実際は個人にもジャンルにもよりますが大変なことは容易に想像できるかと思います。今回は、なぜアートで生計を立てていくことは難しいのか解説していこうと思います。
※設定している数字はなるべく客観性の高いデータを採用していますが、一部筆者の感覚で設定している部分があります。
目次
支出内訳
アーティストは一般の人に比べて支出額が大きくなりがちです。
例えば作業スペースとなるアトリエ費、材料費や展示経費や交通費などが当てはまります。
しかしこれらは経費として計上できるため、今回は計算に含めていません。
※近日中に計算に含めない理由は別記事に書きます。個人事業主として税金に興味ある人は読んでみてください。
一人暮らしの月の支出は総務省統計局が発表した家計調査より、16万円と仮定します。
つまり、アーティストとして生きていくためには年間192万円が必要となってきます。
詳しい計算方法を書くと長くなってしまうので今回は省略しますが、192万円が必要ということは、国民健康保険を払っている場合、約247万円稼ぐ必要があります。(個人事業主、青色申告、住民税は東京都世田谷区、生命保険非加入で計算)
では収入247万円を超えるにはいったいどれだけ作品を売ればいいか考えていこうと思います。
収入内訳
作品を売るには大きく分けて3つの方法があります。
1.オンラインギャラリーなどECサイトで売る方法 (手数料約15%~)
2.ギャラリーを通して売る方法 (手数料約50%)
3.個人の伝手で売る方法 (手数料なし)
それぞれ247万円のお金を稼ぐにはどれくらい作品を売らなくてはいけないか、シュミレートしてみましょう。
仮定: 販売価格は10万円、送料はヤマト運輸さんの美術品輸送サービスを参考にし、2000円とします。
ECサイトの手数料は、日本の業界最王手のタグボートさんの販売額30%、つまり3万円を採用します。
上記の仮定を踏まえて、幾つの作品を売る必要があるかを求める基準となる式はこのようになります。
必要な収入(247万円)÷(販売価格10万円ー手数料ー配送料)=必要な販売数
となります。この式を使い上記3つのパターンを計算してみましょう。
1.オンラインギャラリーなどECサイトで売る場合 (手数料30%)
247万円÷(10万円ー3万円ー2000円)=36.32..
つまり10万円の作品を37個売れば生活できます。
2.ギャラリーを通して売る方法 (手数料50%)
247万円÷(10万円ー5万円ー2000円)=51.45..
つまり10万円の作品を52個売れば生活できます。
3.個人の伝手で売る方法(手数料なし)
247万円÷(10万円ー2000円)=25.20..
つまり10万円の作品を26個売れば生活できます。
まとめ
毎年、想像以上に作品を売る必要がありますよね。これを一回ではなく毎年行うことはとても大変です。
もちろんこの3つのパターンのどれか一つに絞って行動する方はなかなかいないと思います。
しかしアーティストとして作品をつくり、売るだけでは現実問題として生活していくのは難しいとお分かり頂けたかと思います。
こちらのブログでも何度か書いているのですが、アーティストは1つの収入源のみにこだわる必要はないと思っています。
私たちは作品をつくる、ということ以外でもアートの世界やその他の現場でもポテンシャルを発揮できます。
アーティストで生計を立てる方法については以前記事に書きました。
ぜひそちらもご覧ください。
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