こんにちは、画家の牧弘子です。
これから不定期に自身の経験や色々と見聞きする中で得た内容を書いていこうと思います。
普段はこのような絵を書いています。
今回は地方から都心へ活動の幅を広げたいと考えている人に向けて、情報をお届けできたらと思います。
本当は東京の有名美大に行きたかったけれども様々な理由から断念し、地方の美大に進学したが故に自分は将来アーティストになれるか不安に思っている人も多いのではないでしょうか。有名美大出身の看板がないことで、アーティストとしてスタートを切るのにハンデを負っていると思うこともあるかもしれません。
日本では実際、有名美大出身の肩書きがないとギャラリストに作品を見てすらもらえない、そんな時代が長く続いていました。しかしその傾向はここ10年程で確実に変わってきています。
目次
地方美大と東京美大の差
地方の美大生と東京の有名美大を比べた時の圧倒的な差は情報量です。東京やその他都市部で生活していると、欲しいと思った者はなんでもすぐに手に入り、最新の広告などがいつでも目に飛び込んできます。
一方、地方にいると最新の美術雑誌を取り揃えている店舗が少なかったり、流行の回転も都市部に比べてどうしても遅くなってしまいます。
最新の情報がダイレクトに入ってこない地方美大にいる方が、トレンドに振り回されることなく、自身の極めたい道を見つけられるという利点もあります。
しかし、特に若手アーティストの皆さんは自分のスタイルを確立できている人は少ないのではないかと思います。様々なものに触れ、人や情報に揉まれることで新たなインスピレーションや成長につながるでしょう。
美大卒業後、どこで制作を続ける?
美大卒業後も作品を制作し続けていきたいと考えているなら、どこに生活の拠点を置くのか、どこで作品を発表するのかについてじっくり考える必要があります。
海外で活躍する道を模索するという方法ももちろんあります。
作品発表の場として、まず思い浮かぶのはギャラリーだと思います。もちろん東京以外にもギャラリーは無数にあります。大阪や京都、福岡などはもちろん、近年では広い土地柄を活かして地方都市で国際的な芸術祭が開催されるなど、盛り上がりを見せています。
瀬戸内国際芸術祭:https://setouchi-artfest.jp
中之条ビエンナーレ:https://nakanojo-biennale.com
など他多数
しかし日本でアーティストとして作品を発表していくならば、やはり東京での発表は考えなければなりません。
なぜならば東京へは多くのアートコレクター達が作品を求めて集まってくるからです。
ここからは、東京を中心に作品を発表したいと考え、尚且つ東京に生活の拠点を移したいと考えている方に向けていくつかアドバイスしていきたいと思います。
東京でのアトリエ兼居住地を確保するには
まず最初にぶつかる問題は居住地をどうするか、という問題です。
東京で制作のスペースと居住を兼ね備えた広い場所を探すとどうしても家賃が高くなってしまいます。そのために一工夫しなくてはやっていけません。
1. シェアアトリエを利用する
「シェアアトリエ」で検索するとネット上には都心部の好立地な場所も含め、様々な情報が出てきます。居住地は寝るだけの狭いスペースを借りて、アトリエを別で借りるという方法を取っているアーティストは多く存在します。シェアアトリエを利用するメリットは、制作環境が予め整っている(騒音などの心配が比較的ない、必要な道具が揃っていることが多い)という点です。
シェアアトリエのレンタル代もピンキリなので、SNSなども上手く活用しながら、自分に合ったアトリエを探しましょう。
シェアアトリエreboot(リブート):https://www.reboot-iriya.info/about/
様々な出来事が漂着するシェアアトリエ「float」:http://sumica.tokyo/sharespace/float/
2. 都心部へのアクセスが良いエリアに住む
都心部へ1時間以内にアクセスできて、アトリエスペースも確保でき、家賃も安いところはいくらでもあります。ここで気を付けたいのはあくまでも都心部へのアクセスをメインに考えること。
いくら東京に近いところに居を構えたとしても、何度も乗り継ぎをしなければ都心部へたどり着けないようなところに住んでいては、だんだんと都心部へ出るのが億劫になってきます。家を決める前にしっかりと交通機関も確認し、なるべく都心部へ出るのに負担のない場所に居を構えましょう。
東京23区「穴場始発駅」5選 座って通勤OK 都心直通 いろんな場所に行きやすい駅:
https://trafficnews.jp/post/90250
美大を卒業するまでにコネクションを作るには
美大を卒業して、なんのツテもなく東京に出ることは不安もあるでしょうし、正直おすすめはできません。美大在学中に、できるだけ東京に多くのコネクションを作っておきましょう。具体的に2つの方法を紹介を紹介していきます。
1. 公募展に出展する
アートの公募展には大きく分けて2種類あります。
・美術団体が主催し、審査員も美術団体会員が務めるもの。
・大手企業や新聞社、または県や市が主催するもの。審査員は公募展の主催者、キュレーター、大学教授などが務める。
公募展といっても大小様々あり、自分はどの公募展に出品すればいいのか悩む人も多いでしょう。公募展についてはまた別記事で詳しく解説したいと思います。
公募展に出品し入賞が決まったら、あるいは賞に入らずとも入選だった場合でも、なるべく受賞式には参加しましょう。地方に住んでいたら東京への交通費がバカにならないのはもちろん分かります。賞に入ったならまだしも、入選しただけでわざわざ受賞式に参加するのはなんだか恥ずかしい・・・。そう思う人も少なくないはずです。しかし自分の作品が展示されている公募展の受賞式ほどコネクションを作るのにうってつけの場所はありません。受賞式には作品を審査した審査員はもちろん出席していますし、ギャラリストも来ているかもしれません。他のアーティスト達と交流し情報交換のいい機会にもなります。
2. ギャラリー巡りをする
公募展などで自分の作品が東京で展示される機会があればもちろん足を運ぶべきです。
しかしそうでなくとも「美術館やギャラリーで観たかった作品が展示されているから」など何か口実をつけて、東京へ足を運ぶ機会を多く持ちましょう。予め自分が気になっている、もしくは将来取り扱って欲しいと考えているギャラリーをいくつかピックアップしておき、東京滞在中になるべく多くのギャラリーを巡るといいでしょう。何度も顔を出し、顔を覚えてもらえれば、自分の作品を観てもらえる機会もきっと得られるでしょう。そのチャンスを逃さないためにも、名刺、ポートフォリはマストアイテムです。
まとめ
地方美大を卒業したら、東京、もしくは東京郊外に住むことはアーティストとして活躍する上での一つの方法です。
ですが上記の方法を在学中から実践し、東京とのコネクションができてしまえば地方にいながらにして、広くて安いアトリエを確保しつつ、東京でアーティストとして活躍することも十分可能です。
まずは自ら足を運んでみて、自分に合った制作環境を見つけましょう。
この記事が皆さんの参考になれば幸いです。