プラハ国立美術館(プラハナショナルギャラリー)について 〜施設まとめ〜

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はじめに

プラハ国立美術館は、チェコ最大の美術館の一つであり、パリのルーブル美術館に次いでヨーロッパで 2 番目に古いギャラリーとなっています。正式名称は”Národní galerie Praha (プラハナショナルギャラリー)” です。ギャラリーというと日本では作品をアーティスト自身が場所を借りて展示をしたり、鑑賞者側としては無料で入場・鑑賞可能で、作品を購入することもできる場所、と想像する方も多いと思います。しかし、海外では国立美術館を”National Gallery”と称することも多く、他にも日本でいう博物館を”National Museum of Art”とArtのワードを含んで名付けられることもあり、英語と日本語での名称が異なる部分が見られます。

また、プラハ国立美術館においては、一つの建物ではなく、プラハの中心部を拠点とした合計 7 つの建物によって形成されています。建物自体の外観はもちろん、それぞれの施設によって取り扱われるテーマや展示の雰囲気が異なります。年間を通じた展示プログラムでは、チェコだけでなく、ヨーロッパ、世界の芸術イベントの重要な側面を発信することを目的として、さまざまなトピックやアーティストを取り挙げています。

今回はそのプラハ国立美術館のそれぞれ7つの施設一覧を簡単ではありますが紹介していきます。

キンスキー宮殿(Palác Kinských)

ロココ様式の淡いピンクの建物を正面に迎えるこの建物は、プラハ国立美術館のアジア館とも言われ、東洋の美術作品が一堂に介している展示場です。

日本、中国の多くのコレクションを筆頭に、チベット、東南アジア、中央アジア、イスラム地域など様々な地域からの珍しい美術工芸品が展示されています。近年では、アフリカの部族彫刻など1,000点以上のアフリカコレクションも加わりました。

元々は、プラハのさらに南に位置するバロック様式のズブラスラフ城が東洋美術コレクションの拠点となっていましたが、2010年にキンスキー宮殿へと移っています。

キンスキー宮殿は1755年1765年に建設され、幾度の改築経て今に至ります。そのため中世の建築様式やルネッサンス、古典主義など、さまざまな時代の要素が融合されているのが特徴です。宮殿の中庭にある、長方形のタンクを備えた装飾的な噴水も魅力の一つです。

また、さまざまな出来事も多くこの地で起こっています。

最初のノーベル平和賞受賞者であるキンスカ伯爵夫人が誕生した場所であり、2階にあったドイツ語文法学校には、チェコを代表する作家、フランツ・カフカが通っていました。ポーランド大使館が置かれていたこと、チェコスロバキアの独裁者として知られるクレメント ゴットヴァルトがバルコニーから演説したこともあります。キンスキー宮殿は多くの歴史的瞬間の現場となった重要な拠点です。

公式Webサイト: https://www.ngprague.cz/o-nas/budovy/palac-kinskych

ヴェレトゥルジュニー宮殿(Veletržní palác)

英語名では、トレードフェア・パラスとも呼ばれています。道路の一角に巨を構えるガラス張りが特徴的な建物です。国内外の近代、現代美術作品のコレクションが展示されています。ミュシャ、ピカソ、モネなどの数々の巨匠の絵画を鑑賞することができます。

絵画だけではなく、造形作品、建築・家具部門の作品も展示されており、更には写真、デザイン、舞台デザイン部門の作品も見られます。

ヴェレトゥルジュニー宮殿は、1925年から1929年にかけて建設され、1951年まで見本市を開催するために使用されていました。プラハで最初の機能主義的な建物であり、この種の建物としては世界最大の見本市宮殿です。等間隔で並ぶ正方形の窓や、吹き抜けを囲むフロアを見ると、一見規則正しい建造物に見える宮殿ですが、ここには直角が一つも見当たらないと言われています

公式Webサイト: https://www.ngprague.cz/en/about/buildings/trade-fair-palace

聖ヨハネ修道院アグネス・チェスカ(Klášter sv. Anežky České)

旧市街に佇む歴史的な修道院の建物内には、3世紀にわたるチェコと中央ヨーロッパの中世美術が展示されています。

プラハ最古のゴシック建築の一つであり、歴史的に非常に価値のある修道院です。

ひんやりとした空気を纏った館内は、暗く落ち着いており、荘厳さを感じさせます。 

中でも最も古い作品は、この修道院の創設者が属していた、プシェミスル王朝の時代に生まれた作品です。中世チェコを代表する芸術家のマイスター・テオドリクやトシェボニュ祭壇画のマイスターなどに合わせて、アルブレヒト・アルトドルファー、ハンス・ヘッセ、ルーカス・クラナッハなどの作品も収められており、中世芸術ファン必見の場所となっています。

公式Webサイト: https://www.ngprague.cz/o-nas/budovy/klaster-sv-anezky-ceske

シュテルンベルク宮殿(Šternberský palác)

プラハ国立美術館の傑作が収蔵されているシュテルンベルク宮殿は、大司教のロココ宮殿の後ろに潜んでおり、宮殿横の入り口に続く狭い路地を進んでいくとその姿を現します。

14~15世紀のイタリア絵画、ルネサンス、バロック絵画のコレクションなどのほか、ブリューゲル、ルーベンスなどの巨匠に代表される15~18世紀のオランダ、フランドル絵画作品を鑑賞できます。

ヴァーツラフ・アダルベルト伯爵のために1697年から1701年にかけて建てられた宮殿内には、

美しい華やかなフレスコ画やペイントが施された天井、印象的な天井のアーチ型天井、また20 世紀のチェコ彫刻を展示する美しい庭園も備わっています。

公式Webサイト: https://www.ngprague.cz/o-nas/budovy/sternbersky-palac

シュヴァルツェンベルク宮殿(Schwarzenberský palác)

この宮殿は保存状態がかなり良く、プラハで最も美しい建築物の一つです。

部屋の中が見えない重厚な木製の扉を開けるのは少し緊張しますが、中に入ると素晴らしい作品たちが迎えてくれます。

古代美術コレクションから厳選された最も重要な傑作が集められ、デューラー、エル・グレコ、ゴヤなどの、16~18世紀のオールドマスターたちの作品を鑑賞できます。

公式Webサイト: https://www.ngprague.cz/en/about/buildings/schwarzenberg-palace

サルモフスキー宮殿(Salmovský palác)

元々は高級マンションとして使用される予定として建設された、クラシカルな宮殿タイプの建物です。19世紀の中央ヨーロッパ美術に関する展示がされており、チェコだけでなく、オーストリアやドイツの美術作品も見ることができます。

1800 –1811年にかけてプラハ大司教であるサルム=サルム王子によって建てられましたが、完成後すぐにシュヴァルツェンベルク家が所有者となりました。最初の所有者にちなみ名付けられていますが、隣接するシュヴァルツェンベルク宮殿との歴史的なつながりからも、リトルシュヴァルツェンベルク宮殿とも呼ばれています。

公式Webサイト: https://www.ngprague.cz/o-nas/budovy/salmovsky-palac

ヴァルドステイン乗馬学校(Valdštejnské jízdárny)

噴水や彫刻のある美しい庭園の中に建てられました。現在は短期での展示会場として使用されています。1つの巨大なホールの展示場となっており、主にチェコの現代美術と古典美術の展示、およびチェコの歴史に焦点を当てた展示に使用されます。

17世紀に造られたバロック式のファサードは、プラハ城の北側から鹿の堀を越してお城へと続くU Prašného mostu通りの、片側ほぼ全面を占めています。

公式Webサイト: https://www.ngprague.cz/o-nas/budovy/valdstejnska-jizdarna

まとめ

簡略した概要となりますが、以上がプラハ国立美術館の7つの美術館のまとめになります。日本では国立美術館が同じ街に点在していることはまずないでしょうし、同じ冠のつく美術館でもこんなにも様々な角度から芸術や文化遺産としての作品を所蔵していることに感心しました。旅行で遠くからプラハを訪れる方は中々全部を訪れることは難しいかもしれませんが、是非これらの美術館を巡る間に観光なども組み合わせれば、プラハで充実したアートな時間が過ごせることと思います。是非、チェコ共和国の芸術の歴史を楽しんでもらえたら幸いです。

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