こんにちは。前回に引き続きパトロンについて書いていこうと思います。
前回はこちらの記事を書きました。気になる方はぜひご覧ください。
今回は、そもそもパトロンとは何か、なぜ今でもアートと結びついてくるのかという事についてフォーカスしています。
パトロンとは
中世の頃では芸術家や政治家の支援者という意味でパトロンという言葉が使われており、ヨーロッパに限らず、日本や東南アジアにも存在していました。1例として挙げるなら、衣食住が保証され、貴族のお抱え画家として肖像画を描く仕事をしつつ、その空いた時間で自分の作品を仕上げるという風に生活していました。
現代に近づくにつれ幅広い分野でパトロンという言葉が使われるようになってきました。
科学者への援助、テレビの広告主、慈善団体の貢献人、飲食店の常連客などに使われるようになりました。
一方で芸術分野では、個人で特定の人を援助するようなことは減り、パトロンという言葉は廃れていきました。
その背景には、パトロンと似たような意味の言葉として投資やスポンサーという言葉が使われるようになっていったからです。
しかしパトロンはスポンサーや投資家との意味が少し違います。
スポンサーは販売促進に、投資家は金銭の見返りを得る目的で支援するのに対して、パトロンはあなたというブランドを支援、応援、所有していることによる満足感が最も大事なのです。だから企業間でもなく、個人と個人の間で行われることが通常です。
基本、芸術家側からお金持ちの人や業界の人に「パトロンになってください」とお願いすることはないでしょう。
個人同士が知り合って、その後お誘いをうける形がよくあるケースだと思います。
パトロンは何をしてくれるか?
近現代では、一般的に、パトロン側は制作費支援や作品発注をしてくれます。
また、キャリアアップのチャンス(様々な場所に連れてってくれたり、人を紹介してくれたり)を作ってくれます。
一方、作家側は上記のことに感謝し、質の高い作品を提供し、彼らの仕事、もしくは人生にインスピレーションやアイデアを与えることが求められます。つまり、パトロンの日々や人生を、お金ではない何かで刺激を与えることが仕事なのです。
あなたの価値と仕事内容
パトロンが私たちアーティストを支援してくれる意味から考えると、作品に価値があると同時に、それを創るあなたにこそ価値があり、その価値を表現することがあなたの仕事内容になります。
基準はパトロンが満足するか、自慢したいと思える作品、もしくは人材かどうかがポイントです。
作品はもちろん一切手を抜かずに質高いものを創る。
購入していただく場合は普段よりサービスをする。
これらは大事なポイントです。
他に仕事内容を挙げると、例えばパーティなどに招待いただけた場合、あなたはそこにいるパトロンの知人にインスピレーションを与えること、アーティストらしい不思議、クレイジー、面白いイメージを全うすること、これが仕事内容です。
アーティストというブランドをあなたが持ち、それをこの場で振る舞えるかがあなたの活動の一つになります。
微妙な関係
最初の項目で書いたように、個人同士が知り合って、その後お誘いをうける形が多いはずです。それによって様々な問題が起こりえます。
例えば、パトロンは、あなたの人間性に対して面白い、インスパイヤされてる、性格が素晴らしい、かわいい、など様々な理由で支援しています。どのような理由であれ、個人が個人に対しての好感度が無くしてパトロニングをすることはありません。
パトロンの中には支援に託けて、パトロンに呼ぶにはレベルが低すぎる人もいるでしょう。
特に多いのは男性が女性アーティストに付き纏うケースです。
もちろん逆のケースも。つまり異性の関係の場合、非常に面倒臭い状況に追い込まれ、周りにも誤解されやすい現状です。
次に曖昧な支援になりやすい点です。
契約書、また口約束でも内容を明確にしない事も多く、都合の良いように希望を湾曲されるかもしれません。
また現代アートならギャラリー、音楽なら関係レーベルとかと契約している方であれば、トラブルの元になるため、ビジネスパートナーには約束前に相談しましょう。
まとめ ~人とアートは切り離せない~
アートは人が価値づける以上、人と人は切り離せません。生きていくための人の営みの中で絶対価値がないアートだからこそ、お互い価値づける支援をしてくれることはありがたい事です。
作品もしくは人間性を支援してくれることはアーティスト冥利に尽きることでしょう。是非、トラブルに注意しながらも、積極的に色々な人とコミュニケーションをとってチャンスを作りましょう。