ヨーロッパSNSは Threads(スレッズ)もTwitter(ツイッター)も必要ない。

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2023年アメリカのマーク・ザッカーバーグが率いるMeta社がリリースした、新らしいSNSアプリ、Threads(スレッズ、スレッド)が登場した。 イーロン・マスク氏がのTwitter(ツイッター)のライバルになる想定として登場したアプリは、日本では話題を呼んでいる。さて、アメリカと日本では話題のスレッズがヨーロッパ(EU圏内)では使えないことを知っているだろうか。そしてもっと言えば、アメリカ人と日本人には必須アプリのツイッターさえ、欧州では全く人気がないこと皆さん知っていただろうか。

SNS(ソーシャルネットワークサービス)は情報発信ツールであるが、具体的には「自己表現」「知り合いと連絡する道具」「情報収集」などに分けることができるだろう。

今回、これらのSNSアプリを「自己(もしくは自社)表現」「マーケティングツール」として、なぜヨーロッパで使われていないかを考える。

そもそも、日本のメディアが”流行”が作られる時は、往々にしてアメリカの後追いであることが前提とも言える。ざっくり過ぎで言うと、それは経済やテクノロジーでも世界の覇権を握る超大国のアメリカの強さ、世界共通言語の英語が母国語、第二次大戦での敗戦国である日本が米国の傘下にある理由と影響は止むおえない。それらの理由から、アメリカで流行るもの=日本でも流行る、という構図は出来たのだ。

ビジネスではシリコンバレー、カルチャーならニューヨーク。その発信源でフューチャーされたものは、日本語に輸入、翻訳され、意識が高い人、先物買いが得意な人に”最先端”として伝えられ人気となる構図だ。そして、それらが何年か人気を博した後に、次のトピックが注目されていく。この繰り返しだ。2021年に空前の人気を博し、いつの間にか消えていったアメリカ発の「Clubhouse」がいい例で、ヨーロッパでは誰も知らないままオワコンとなったアプリである。

3億3千万人ののアクティブユーザーを持つツイッターは、利用者の世界一がアメリカで7700万人、2番目が日本で5800万人であり、ヨーロッパの国では12位にやっとフランスが来るという上位ランクだ。日本の人口の10倍で、IT大国であるインドでさえTwitterユーザー3位の2300万ということは、いかに今回のスレッズのリリースされた話題が、対日本用のメディアマーケティングであるかがわかる。

それに対し、ヨーロッパはそれらの流行り廃りにはお構いなしだ。むしろ知られてさえいないと言ってもいい。それはなぜだろうか。

まずは、その米国の潮流には乗りにくい、独自の知恵、道徳、規範がしっかりしているからだ。だからこそ例えば、企業マーケティングとして日本で随分と流用された “SDGs”という言葉さえ、ヨーロッパでは一般人に実はあまり知らていない。

独自のマーケットがあり、デジタル、グローバル社会になった現在でもEUはその経済圏、文化圏を保持して、欧州はEU連合として、米国やロシア、その他諸外国に頼らない政策をとる。その一例がデジタル時代の情報漏洩問題とサイバーセキュリティ対策だ。EUの欧州委員会は2023年3月以降、欧州委員会に登録されている企業のデバイスおよび個人用デバイスにおけるTikTokのバンを決定し、これが中国企業でもアメリカ企業のスレッズでも理由は全く同じである。しかし勿論、ヨーロッパ人がSNSを使わないわけではない。欧州でFacebookは最もユーザーが多いSNSである。だが、Facebookの近年での使われ方は宣伝投稿よりもメッセージを送り合うツール、日本のLINEのような扱われ方だ。だから欧州では、Facebookと欧州のライン、Whatsapp(ワッツアップ)というアプリを利用する。

次に、EUと言っても決して一区切りにできるものではない。2023年現在は27カ国もある国々は、「宗教、言語、国境、民族」が歴史的にも地政学的に複雑なグラデーションで混ざっている。つまり、小さな国で少ない人口が集合する多様なEU圏では、各地域で言語とトレンドが全く違う。ヨーロッパは他言語であるがこの場合逆に、写真やショート映像がメインのInstagramはフィットする。

ともあれ、世界共通言語の英語、一つの島国に1億人以上が同じ言葉を話す日本とは欧州ははまるで環境が違うのだ。そこからもスレッズがどの道Twitter同様、あまり利用者が増えないことは予想はできる。

最後に、ツイッターやスレッズが流行らない理由に、ショートな文章でのマーケティング表現は少ない

言葉や言語を多様する西洋人はリアルなオフラインコミュニケーションで会話やチャットでの会話を好むからだ。

欧州に住む日本人として、頻繁に日本と欧州のトレンドの違いを感じることが多く、以上が欧州の企業や個人事業主があまりにツイッターを使っていない疑問を解消するための考察となる。最後に記載したいことは、日本のメディアやSNSで話題となるあらゆることは、あくまで操作されているマーケティングであり、欧州では全く知られていないことが多く、ましてや南米や中東など世界を広く見れば、全く違う現状があるということを伝えたい。

流行が数年遅れの時差を経てヨーロッパのシェアにリーチすることが時にあるので、今後とも注意深く動向を見ていきたい。

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