アーティストの人脈やコネの作り方

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アーティスト、アート業界の方々にとっては自分の作品を売り込む際に人脈はとても重要です。

そもそも人脈があるとどう便利なのでしょうか。

まず、人との関わりが増えることで与えられるチャンスが増えます。困った時に助けてくれる可能性のある人が増えます。アドバイスをもらったり、更なるコミュニティを紹介してもらえるかもしれません。

人脈のデメリットとしては人間関係に疲れるとか、新しい出会いを求めて時間を消費してしまうなどがあるかもしれませんが、それらを考えても人脈はないよりあった方が良いと私は思います。

今回は人脈を作る上で大切なことと、アーティストに特化した人脈の作り方を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

人脈を作りやすい人

・話すことが好きな人、人見知りじゃない人

人脈作りにおいてコミュニケーションは必要不可欠なので、話すことが好きな人は人脈を作ることに向いていると思います。新しい人に出会うわけですから、人見知りではないことも前提条件です。とにかく人たらしであることが人脈を作る上では重要です。

例え話すことが得意ではない人でも、話を聞くことが好きならばコミュニケーションは成り立ちます。むしろ相手の話を上手に聞ける人は良好な関係を築きやすいです。

人の話を聞くときに大切なことは以下のポイントです。

・相手の目を見て話す

・相手の話を理解し、自分の意見を述べる

・相手の意見を受け入れて、共感する

・途中で遮らない

・容姿がいい人、おしゃれな人

見た目は人脈作りに大きく影響します。美人やかっこいい人は興味を惹かれやすく、有利になるのは仕方のないことです。それでは、容姿が普通の人にはチャンスがないのかというと、そういうわけではありません。まずは清潔感があることが重要です。髪の毛を整えたり、服装をきちんとしたりすることは自分自身のブランディングにもつながることなので最低限の努力をしましょう。

余裕がある場合は、服装をおしゃれにするとセンスがあると思わせることができます。このとき大切なのは、個性的なファッションに走りすぎないこと。ここでいう個性的とは、奇抜なファッションという意味です。確かに自分自身を表現するツールとして個性的なファッションは素晴らしいですが、第一印象と直結する部分なのであまりにも独特だと毛嫌いされてしまう可能性もあります。例えば洗練された形のシンプルな服装や、素材にこだわったもの、自分の好みよりも自分に似合うかどうかを考え抜いたファッションなどを研究しましょう。もちろんT.P.Oも忘れずに。

・新しい場所に行くことが億劫じゃない人

新しい場所に飛び込むことは勇気がいるし大変ですが、これなくしては新しい人脈作りは難しいです。新しい出会いの場に行くことをネガティブなイメージではなく、楽しみなイベントになると苦ではなくなると思います。これは慣れでもあると思いますので、とにかく場数をこなしましょう。とは言っても自分の興味のない場所にわざわざ赴くのは余計面倒くさいと思うので、最初のうちは興味のある場所から行ってみましょう。

人脈を作るための行動 相手を立てるコツ

・利他(りた)であること

人は自分にメリットがある人と会いたい、付き合いたいと思うのは当然です。相手に会いたい理由のどこかに自分へのメリットがあるように、相手にもメリットを与えなければ楽しい時間=人脈には繋がっていきません。相手と出会った時にあなたが特化していて、なおさら相手に与えられると思われる知識や技術などの能力を垣間見せることで、興味と関係を築いていくことが重要です。最初のうちは見返りを求めることなく、ただ純粋に相手との関係を楽しむこと、その中でさりげなく相手を立てて気持ち良くなってもらう事がまた会ってもらうきっかけになるのではないでしょうか。

人脈作りしやすい場所

・出会える場所に自然にいること

自然に無理なく出会える関係が一番いいのです。つまり人脈形成は狙って作りにいくより、出会える場所に既にいる、という状態を作るのが理想的です。ダイレクトに人脈を作りに行くと相手に警戒されたりめんどくさがられたりするので、例えば「バイト先のお客さん」とか「知り合いに会いに行ったらたまたまそこにいた人」などが良いシチュエーションです。こう言った場合、バイト先や自分の知り合いがフィルターとなり、自分の身元を保証してくれる存在にもなるので相手も安心します。

例えばアート関係でも、人が流れてくる場所に人脈を求めている側として居るのではなく、管理者や関係者としていることが理想です。そうすると自ずと話しかられる、もしくは出会った人はすでにアート関係、もしくは少なからずアート好きなはず…という良質で濃い出会いのチャンスを得る事ができるでしょう。

つまり「出会い」より「出会い方」を戦略的に作り、結果「自然と出会えた」という状況を作るのです。

アート業界で人脈を作るには

・ギャラリスト編

ギャラリストとの人脈を作るなら、やはりギャラリーに行くのが一番早いでしょう。とは言っても普通にギャラリーに展示を見に行って名刺を交換させてもらって…というのはハードルが高かったり、ギャラリストも仕事中なので面倒くさがられたりするでしょう。効果的なタイミングはギャラリーのオープニングに行く事です。

美術館で行われるレセプションパーティーは基本招待制で、招待状がないと入れなかったりするのですが、ギャラリーのオープニングは基本的に誰でも無料で参加する事ができます。ギャラリーのオープニングは社交の場ですここではギャラリスト以外にもコレクターやアーティストなどいろんな人と出会えるので、たくさんの人と交流できる貴重な機会です。

大切なのは、その展示やアーティストのことが好きであること。闇雲にオープニングに行き、人脈を広げようとするのは浅はかであり失礼でしょう。あくまでもオープニングは作品を披露する場所なので、最低限その展示について調べ上げ、愛を持って作品を鑑賞しに行きましょう。

また、ギャラリストと出会う場としてアートフェアがあります。アートフェアとは様々なギャラリーが集まり、自分のブースの中で作品を展示販売するイベントです。自分のギャラリーでの展示が、例えばの「素晴らしい作品を見せたい:作品を売りたい」=「8:2」だとしたら、アートフェアの場合は「5:5」くらいでしょうか。ギャラリストは作品を売りに来ているので、作品を買わなそうな人には興味がありません。よって、アートフェアではたくさんのギャラリストに出会えますが、出展していない若手作家と出会うことはギャラリストとしては目的ではないので上手く関係を作るにはそれなりの理由が必要です。

・他のアーティスト編

アーティスト同士が知り合う場は同じ美術大学の同志とか、共同アトリエの仲間とか、知り合いの知り合いで紹介してもらうとか色々あると思います。しかしこのようなコミュニティだと同じレベルの似たようなアーティストにしか出会えないのがオチですよね。

他のアーティストと出会う場としてグループ展に参加するという方法があります。アーティスト主催のものでもいいですが、理想はきちんとしたオーガナイザーに誘ってもらうことです。そのオーガナイザーを通してアーティストに出会う中で、もしかしたら自分より有名なアーティストと一緒に作品を展示できるかもしれません。一緒に展示をすればかなり強力な人脈にもなるだろうし、何より自分の経歴になります。まずはグループ展をオーガナイズしてくれるような人に出会うこと、その人とのコネクションを絶やさないことが大切です。

・コレクター編

コレクターに出会うには、知名度を上げることが一番です。「それができたら苦労しないよ」という気持ちはわかりますが、やはりほとんどのコレクターはアーティストのステータスを重要視します。社会的に価値がついていた作品の方が買いやすいのは当たり前ですから。「そうじゃなくて、作品自体の評価で選んで欲しい!」と思う方は、地道に社交場に足を運び、人脈を作って営業することが重要です。しかし、変なコレクター(パトロン)には気をつけてください。気をつけるべきパトロンについては、以前記事に書いているので参考にしてみてください。

コレクターと出会える場所は、やはりギャラリーのオープニングやレセプションパーティーなどが多いと思います。中には自分のことをコレクターと明かさない人もいます。「仲良くなったアート好きがなんとコレクターだった!」というラッキーな出会いもあるかもしれないので、どこにどんな出会いがあるかわかリませんよね。

しかしいざ、コレクターと知り合えたとしても自分の作品にいいねと言ってもらえたとしても、自分のことを応援してもらう上で作品を購入してもらうことはとてもハードルが高いことです。その場合はSNSをフォローしてもらったり、定額制のアーティスト応援サイトに登録してもらったりするのが気軽に応援してもらえて、尚且つ自分のことを定期的にリマインドできるのでいいと思います。

人脈形成はどの業界にも必要不可欠なことだと思いますが、特にアート業界はコネやコミュニティの中でマーケットが展開されやすいので、特に人脈作りが重要になってきます。アーティストってそういう戦略的な商法が苦手な人が多いイメージがあるので、もし自分が実際に行動できたりコミュニケーションスキルを取得できたら周りを出し抜くいいきっかけにもなると思います。

最後に、人脈を作るよりも大切なことは、相手に敬意を払うことです。出会うことではなく、出会った先に良い印象を与えることこそが重要です。相手に興味を持って最低限のリサーチをし、愛を持ってコミュニケーションをとるということを忘れないでください。

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