アーティストのための推薦書〜具体的な内容や頼むポイント、相手を紹介〜

アートストラテジー

あなたは「推薦書」を必要としたことありますか?

アート関係と推薦書はあまり身近に感じないかもしれません。

しかし、アート系の業界の中でも、「美術、工芸、現代アート」の周辺にいる人たちは、制作活動と並行して、様々な活動の中で「推薦書」が必要な場合があります。また推薦書次第で本人も驚くような良い結果が出たり、そのチャンスによりブレークスルーをする可能性などがあります。

私は様々な応募にあたり、過去に50回以上推薦書をお願いし、応募先に提出した経験があります。成功経験も多々あります。逆に推薦書を書いた経験もあります。

今回はアーティスト側にとって推薦書がなぜ、どういった時に必要かを紹介し、目的を遂行するためにはどういった推薦書がいいものかも紹介していこうと思います。

どんな時に推薦書が必要?

「コンペ」、「助成金」、「奨学金」、「アーティスト・イン・レジデンス (A.I.R)」、「派遣、研修、研究」など、規定応募がある応募の半割は、推薦書が必要と応募要項に書かれています。

また規定応募がなく、自主的にプロジェクトや研究を遂行する際にも推薦書があった方が良いとされています。

推薦書とは何か?

まず、推薦書とはどういうものでしょうか。推薦文、推薦状とも言われますが内容はほとんど一緒です。場合によりけりですが、美術における推薦書は基本、申請先に応募用紙と共に本人以外の第三者が申請者を評価、応援する手紙になります。

大学や企業、機関などで使われるのは「教授推薦書と自己推薦書」をいう2種類がありしますが、アート関係では自己推薦書はなく応募用紙で指定されている「志望動機、制作動機、作品コンセプト、作家プロフィール」などの中に内容を記載します。

基本的には本人主体の応募などあたり、申請者から第三者に推薦書を書いてもらうようお願いする形になります。

推薦書が必要な理由とは?

推薦書という信用性のある第三者が、申請者をどう見ているかがわかります。応募している団体側にとっては、申請者を判断する材料になります。

また、推薦書を応募条件の一つにすることにより、応募者の数をふるいにかけることができます。

申請者側にとっては、推薦書にお願いすることはその人の名前を借りることになり、応募者がより一生懸命になれ、責任感をもった仕事ができるようになります。

つまり、推薦書も審査基準の一つに入っているのです。

推薦者に応援されているという周りの交友関係さえ、生き残っていく時の力として評価されるということですね。

具体的事例

では具体的に推薦書が必要と書かれているものを何点かご紹介します。

コンペの場合

sanwacompany Art Awardを例にします。

sanwacompany Art Awardは、アートポータルサイトART LOGUEが運営協力している現代アートのコンペであり、今回で2回目となる若いコンペです。

豪華な審査員に加え、賞金も100万円、展示のチャンスなどもある今注目する現代アートコンペです。 

この応募用紙の一つが推薦書になります。

文字制限、フォーマットなど、その他規定がある場合は必ず守りましょう。

アーティスト・イン・レジデンスの場合

ISCPを取り上げてみましょう。ニューヨークの老舗であり現在でも最も知名度が高いA.I.Rです。ACC(アジアン・カルチュラル・カウンシル)からの助成金を獲得することが出来切ると、ISCPのレジデンスに入れることができます。

この審査の中にも推薦書が必要です。

Reference letterと書いていますがRecommendation letterと内容はほとんど一緒です。Referenceというと推薦人とも保証人とも取れます。その意味からか、「一つの推薦書」「もう一人の保証者の名前、職、所属団体、メールアドレス、電話番号と住所」を記載します。

時には推薦者の基準があったりします。例えば「大学やその他教育機関に勤めている人」「作家活動をして10年以上の経験があるもの」だったりします。

つまり基本推薦者にも資格がとわれることもありますのでよく注意してください。

また、日本人の推薦者に日本語で推薦書を書いてもらった場合、作家本人が英訳をしても構いませんが、推薦書内に「Translated by artist 」(作家本人による英訳)と記載してください。

助成金の場合

「助成金」申請の例では朝日新聞文化財団の芸術活動助成申請要項を見てみます。

名前の通り、おなじみの朝日新聞が運営している公益法人の財団です。

「助成の目的を音楽会、美術展覧会等への助成を通じて、文化、芸術等の発展、向上に寄与することを目的」とするように、若手や熟練者隔たりなく、音楽家がコンサートや美術家が展示会などの”文化的事業”に助成してくれます。

そしてこの申請にも推薦書が必要になります。 

A.I.Rやアートコンペの審査と違い、大きな財団の規定や指定はしっかりしていて限定的です。そして必ずこの通りに申請しないと受かりません。 

上記具体的に何点か推薦書が必要なものを見てきました。

それでは、次に誰に書いてもらうのがいいのか見ていきましょう。

推薦書を誰に書いてもらうか?

あなたのことをしっかりと見てくれている同じ業界の人がいいでしょう。その業界の中で有力な人、権威がある人、知名度が高い人、信用性がある人ならより好ましいです。

具体的には例えば、美術館学芸員、美術の連盟や団体の責任者、画商やギャラリスト、大学機関などの先生、知名度やキャリアがあるアーティストがいいでしょう。

どういう内容を書いてもらうか?

推薦者は何を書けば良いか。資料の提出先がコンペでもレジでも、とにかくその勝負に勝たせてくれる文章がいい内容でしょう。

作家本人ではなく第三者が言ってくれることとして、良いことがいかに書かれているかが重要です。

内容として考慮されているといいことは、

「推薦者の自己紹介」
「推薦者と作家との繋がりや信頼関係」
「作家がどんなことを行い、達成しているか」
「作家の人柄や性格にも少し触れたりしてもいい」
「申請先で作家が飛躍できることへの想い」
「作家が口にするべきでない良いところを言ってくれる」
「この作家を選んでくれたらあなたたちにこんな可能性や有益なことがあるという内容」

などが入っていたら完璧だと思います。

最後に推薦者の直筆サインもしくは判子、日付、役職が書かれていることは必須です。

依頼時のポイント

依頼時のポイントはいくつかあります。

1.執拗にお願いしない

推薦者になってくれる人はもしかしたら頼まれることに慣れていないかもしれませんし、嫌かもしれません。

その人の名前を援用して何かをするということは、その人の名誉や信用にも関わります。推薦人になってくれる人も誰にでもしてあげるわけではないので相手を尊重して丁寧に真剣にお願いしましょう。

2.会ったことない人には頼まない

タブーなのは会ったことない人へ推薦書を頼むことです。もしくは数年会っていない、連絡していないという方に頼むこともおかしいことかと思います。

まずは推薦者が何を書いていいかわからない愛のない相手には「推薦」はできません。日頃から友好関係が特にないのにこういう時だけ近付いてくる人はたくさんいると推薦者から聞いたことがあります。

3.締め切りに余裕を持つ

「締め切りギリギリで頼む」ことはやめましょう。大体色々とギリギリになってしまうのはみんなそうです。

しかし推薦者や他人にお願いして巻き込む場合はそういうわけにはいけません。推薦者の人も忙しいかもしれません。時間の余裕を持ってお願いしましょう。

4.推薦者の手間をできる限り取らせない

目上の方で、しかも忙しい人なら、一円にもならない推薦書に時間を割いてくれるのは大変だと思います。

そういう時は頼みっぱなしではなく、推薦者になるべく手間を取らせないようにコンペやレジの内容を説明したり、推薦書のためのテンプレやメモを用意するのもいいかもしれません。

円滑にストレスなくやってもらえるように最大限あなたのところでできることはやっておきましょう。来年の応募や他の応募でも引き受けていただけるよう努力しましょう。

5.お礼、ご挨拶、ご報告を忘れずにする

推薦状に基本お金を支払うことは私は聞いたことがないので、推薦者にお礼をご挨拶、お菓子、お手紙などなんでもいいと思います。

また、気持ちだけで書いてくれた推薦者にはちゃんと中間、結果報告などをして、

お礼をがんばりで見せることもいいでしょう。

推薦されて活動している芸術家の仕事としてだけではなく、推薦してくれた方と本人との人間関係のために何より重要だと思います。

まとめ

アート活動での推薦書の必要性についてまとめてみました。

推薦書と聞くとちょっと大変なのではと思ってしまいますがそんなことはないです。

皆さんもどんどん周りに応援されて頑張っていきましょう。