記事画像引用元:ANN
今日現在2022年2月26日土曜日の夕方にこのブログを書き始めています。チェコ共和国のプラハで活動するサバイブログ編集長の大成です。現在、ウクライナが悲惨な戦場として第三次戦争とも形容できる醜い争いが肥大化しています。
まずは、戦争により多大なる被害を遭われているウクライナ現地の方々、その他様々な影響により苦しまれている皆様に、心よりお見舞い申し上げます。また現在、日々情勢が悪化しています。皆さんもくれぐれもお気をつけください。

ご周知の通り、対ロシアへの金融制裁(政府が指定した金融取引に制限をかけ、相手国の経済活動を締め付ける措置)がアメリカやEUによって行われています。しかしそれが、ロシアに住む一般人の生活だけではなく、ロシア銀行が点在する東欧に住む一般人の生活を逼迫しています。
また、私はチェコ共和国のプラハに住み、銀行口座をSBER BANK(スベルバンクもしくはズベルバンクと発音)に持っています。こちらはロシア資本の銀行です。その口座も店舗も現在(2/26) 機能しておらず、いつ銀行が再開するかわからない状況です。取り付け騒ぎはロシア国内だけではありません。
そのような理由から、アートサバイブログは東欧諸国のアートや海外の情報提供サイトですが、今回の記事ではSBERBANKの銀行口座の状況と現地情報についてお伝えていこうと思います。

SWIFT排除とは?:
SWIFTとは金融機関の情報通信サービス組織です。各国に銀行間決済をするシステムがある一方で、国境を越えた決済のための世界中の銀行が出資して設立した協同組合がSWIFTです。
つまりスイフト排除とは「金融の核兵器」とも呼ばれるように 「ロシア政府を西側諸国の金融システムから締め出す」、つまりロシアが石油やガス輸出で得た外貨送金を遮断する手段でロシアに大打撃が与えられる金融制裁となるのです。

私の口座が凍結するまで:
本当に世界がどうなるかわからないこの今、この内容を執筆していることさえ正しいかわかりません。しかし私ができることとして、この状況をお伝えしたいと思いました。
それでは私の口座の凍結までの道のりをオンタイムでお伝えしていきます。
2010年:私はチェコ共和国のプラハで留学をスタート。オーストリア資本の VOLKS BANKに口座を開設。
2013年:チェコのVOLKS BANKがロシア資本のSBER BANKに買収される。
スベルバンクは東ヨーロッパでも10本の指に入る大手銀行です。また、2021年時点ではチェコ共和国では58種の銀行があり、そのうち46種が外資系企業です。

旧共産圏の国であったチェコには、ロシア人(推定4万人)、ウクライナ人 (推定20万人以上)が留学、移民、労働、ビジネスなどとしてチェコで暮らしています。
私もロシア人、ウクライナ人の友達が何人もいます。
そういった意味でもロシア資本の銀行に自分の口座を持つ銀行が買収されたからといって、銀行を変更するというのは少し差別的ですし、大手の銀行であることから問題なく口座を保有していました。

2022年2月24日:
コロナウイルス、様々な地球環境の問題を抱えたまま、ウクライナとロシアのプーチン政権が戦争が過激化し始めました。
この時点でもしかしたらと思い、私はオンラインでアパートの家賃を数ヶ月先まで支払いを済ませました。
次にスベルバンクに現金引き落としに向かいました。自分は随分早い方だと思っていましたが既に10人以上が店頭に並んでいます。

1時間程待ちましたが、この時点で貯金の全額を引き出さなければいけないと思えるほど状況は悪くなると思っていませんでしたので、来月分くらいまで必要だろう現金を引き落としました。
銀行内の雰囲気:
軽いパニック時のロシア系銀行ということで、店内はロシア語が頻繁に飛び交っていました。皆が軽いパニックとストレスを感じていることがわかります。しかしこの時点ではこれから銀行が閉まるだろうことは誰も知りません。

2月25日:
チェコ国内全てのズベルバンクが店を閉めました。同時にオンラインバンキングも閉鎖です。この時点でニュースが相次ぎ、預金者は銀行店舗に群がりました。
これが起きた理由には二つの推測があります。
一つは預金者が一斉に預金引き出しをすることが予想されたため閉店。2つ目は政府による直接的な経済制裁。
直接的であれ間接的であれ、これによりロシアを含め東欧に点在するロシア関連の銀行に口座を持つ、全く戦争とは無関係な一般市民が苦しむことが想像できます。私においてはこの国で暮らすほぼ全財産を預けています。

2月26日:
ただニュースから情勢を見守るしかありません。世界から1日でも早く争いや破壊行為がなくなることを願うのみです。26日、27日と週末であることから、銀行は通常通り閉店しています。
日本でも金融制裁のニュースが多く流れています。

2月27日:
ロシア軍がウクライナの首都キエフを制圧するのではないかという報道がされています。そしてもしかしたらEU圏内にも侵攻してくるのでは?という噂も流れ出しています。


一夜明けた銀行には預金者の怒りの跡が残っています。この日は日曜なのですが、銀行員が言っていたように明日月曜から通常運営ができるのでしょうか。

2月28日:
週初めになりました。朝からポジティブなニュースはありません。
社会情勢については依然揺さぶりと交渉が続いています。ニュースではロシアにおけるEU諸国への軍事侵攻、アメリカとEUにおけるウクライナへの軍事支援、そしてロシアへのさらなる経済制裁の強化が続いています。
週末のタスクであったこと、
明日の以降の預金引き落としをしたいとサイトを開きましたが、バグです。

「オンラインバンキングの確認」=オンラインバンクは使えません。
「銀行へ電話」=繋がりません。
「情報共有のために日本大使館へ連絡」=何もできませんし情勢がまだどうなるかわからない、と言われる。(2/28に折り返し大使館から電話があり、保険についてのアドバイスなどをもらいました。)
「銀行店頭に出向く」=今日は店は閉じているとネットで知る。チェコテレビも現在欧州中央銀行がズベルバンクの破綻の恐れがあると指摘しています。
現金が引き落とせないだけではなく、それに付随したクレジットカードも使えません。
携帯料金、インターネット支払い、電気代、ガス代、その他サブスクなど自動引き落としで全てここに繋がっている支払いはどうなるのか、などの心配もあります。
保証はどうなるのか、本当に全額返ってくるか。そしていつ返ってくるのか。
経験上、外国では日本では想像できない理不尽なことが沢山あります。未だ安心は全くできません。
サバイブログの死活問題として引き続きここに情報を残していきます。
3月1日:
月曜日になりました。チェコ語のメディアでは、この戦いがEU、チェコにまで来るのではないかとの噂も立ち始めます。スーパーマーケットなどはパニック感はありません。

銀行はもちろん閉まっています。いつ再開するのでしょうか。

「新しい銀行で口座の開設」= チェコ国立銀行に特録される銀行リストの中でも私個人のイメージでは、Air Bank, Equa bank, Fio banka, Komerční banka, Moneta Bank, Raiffeisen Bank, UniCredit Bankが人気です。
この中でから一つ選び、銀行へ予約を取り付け、無事に問題なく普通口座を開設することができました。銀行の方も新しい口座開設者が増えて大変なようです。
銀行店員から聞いた情報では、
携帯料金= 値段が毎月変更するような自動引き落としは、本人が相手側に連絡した方がいい。
電気代、ガス代= 新しい銀行が支払い先の移動をしてくれる。(しかし私は未だ新しい銀行に預金がない状態)
インターネット支払い、その他サブスクなど= まだわからない。
「預金保険について」=前日に金融市場保証制度の “Guarantee System“ により、3月9日から3年間の間でKomerční bankaで日本円で約1300万円以内の全額保証が受けられるとの発表がありました。お金をすぐに新しい口座に送金できるようです。詳しくはオフィシャルリンクをご覧ください。もちろんのこと3月9日から大変な取り付け騒ぎが予想されます。
本当にこのPAY OUT開始日時の変更がないことを祈るばかりです。
3月1日の報道内容ではこう言われています。
次の更新は「預金の引き落とし」と「プラハでの情勢や情報」についてお伝えします。
3月2日:
さらなる激しい惨劇が現実に起こっています。プラハでの緊急時の情報などがネットを飛び交い、同時にウクライナへのEU参加の意見も交わされています。

3月3日:
プラハの中心地もスーパーマーケットなどもいつもと変わらず普通です。
スベルバンクはヨーロッパから撤退すると言われています。
銀行はやはり閉まっています。


プラハの街はいつもと変わらず穏やかで、旅行者などもそれぞれの時間を楽しんでいます。
3月4日:
ウクライナ人(既にチェコにいるウクライナ人もいると予想)が亡命者としてのビザ発行のために行政が慌ただしくなっているようです。
街の様子は至って問題ありません。
救援物資を送るための寄付、ボランティアなどの活動がSNSに多く見られます。街中に青と黄色の国旗が掲げられています。

今日はプラハの中心の地、ヴァーツラフ広場にて何万人もが集まる集会が行われました。暴力的なものでは一切なく、平和的なメッセージや想いを伝えています。ライブ中継がテレビ、ネットで放映されていました。
チェコ語でのスピーチと共に、広場に集まるウクライナ人、中継を見ているウクライナ人のために、ウクライナの国歌、ウクライナ語でスピーチなどが行われています。
そしてゼレンスキー大統領のライブ中継が始まりました。彼はヨーロッパの主要都市と日々ライブ中継しています。デジタル手法が駆使されています。

5分ほどの凝縮された想いと強い感情が何万人の聴衆を惹きつけます。
“If we win, and I am sure we will win, it will be a victory for the whole democratic world, it will be a victory for freedom, a victory for light over darkness, for freedom over slavery,”
“You are all Ukrainians today and I thank you for that,”
“私たちが負ければヨーロッパも負ける”
“ウクライナを応援してください、どんな助けでも必要としています”
“ウクライナに自由と平和を”
プラハの中心地が熱気に包まれた夜となりました。
私個人の意見では、「共に闘いましょう」というメッセージと同時にウクライナという「国名」が強調されすぎなのではとも感じました。
3月5日:
日本は平日は仕事、週末はイベントや外出や買い物などの仕事とは違う忙しい面があります。しかしヨーロッパの週末はとても静かです。家で家族と過ごす、ゆっくりすることが文化として定着しています。
SBER BANKについては今日も進展はありません。金融市場保証制度による3月9日を待つばかりです。
ついに決戦の日が来週来ます。どうなるのでしょうか。
ズベール銀行、その他ロシアへの強い経済生産による余波が様々に影響し出しています。
同時に、ユーロやチェココルナと円の為替の大きな変動、そして「有事の金や銀」の価格が高騰しています。
来週どのように変わっていくか、動向を追っていきます。
3月7日:
プラハの街は平和です。1日に何千人ものウクライナからの亡命者がチェコに入っていているようです。
私のプラハにいるウクライナ人の友達も、ウクライナからの知り合いを家に止めているようです。
街にウクライナナンバーの車も増えたように思います。
SWIFTから排除された銀行のニュースが入りました。

私の銀行口座はズベルバンクですが、この場合今後どうなるのかいまいちまだわかりません。この場合の補償もどうなるのか。そして実際のプラハの現場ではどうなっていくのか。。
3月8日:
ロシア大使館の前はすごいことになっています。常に警察が10人以上見張っています。しかし警察がこれらのメッセージボードを撤去はしません。
肉屋で買える豚の頭部や、プーチンに対する酷いメッセージが生々しく大使館周辺を飾っています。
戦争やプーチンへの反対意志、ウクライナを応援するための国旗がありとあらゆるところで掲げられています。
3月9日:
先週 金融市場保証制度による、3月9日返金保証内容について発表がありましたので早速行ってきました。
相当混んでいるだろうと思いましたので朝は避け、昼に指定されたKB BANKの支店に向かいました。
そして全く問題なく無事、全額新しい口座に送金ができました!正直こんなにスムーズにできたことにむしろびっくりしています。銀行の方に聞くと朝一番から沢山の人が並んでいたようですが、数時間後には通常レベルに戻ったようです。
私はズベルバンクでユーロとチェココルナの二つの口座を持っていたのですが、今回の返金保証システムでは全額がチェココルナになって返金されるようです。ですので、私の持っていたユーロもコルナに換算されました。
今日現在、1ユーロ=25コルナくらいなのですが、KB BANKの今回の補償レートは1ユーロ=29コルナ。
プラハ中心地にある換金場でも1ユーロ=25.5〜26コルナくらいで交換できます。
つまり、チェコ中の制裁された預金者の外貨預金は全てコルナになり、その1ユーロ3.5円〜4円近い為替手数料がKB BANKの利益になります。
ともあれ、この最中で私を含め預金者はこれで一安心かと思います。新し口座に入金確認出来次第またここで報告したいと思います。本当によかったです。
プラハは普段と変わらず問題ありませんが、チェルノブイリ原発の “電力停止”から 放射性物質放出の恐れが出され、住民の動揺はしています。
3月10日:
なんと一日でKB BANKからの新しい口座への入金を確認できました。しかしミスが起きています。
銀行員が「あなたのEURO預金は自動的にCZKコルナになり振り込まれる(1ユーロ29コルナのレートで強制的)と言っていたのに、全てユーロで振り込まれています。しかも、元々ズベルバンクの私のユーロ預金まで一度1ユーロ=29コルナでコルナになっていたものが再度KB BANKのレートにかけられ、ユーロにされています。
つまり、二重に手数料を取られています。やはり、一筋縄ではいつも行かないチェコ。
すぐに銀行へ駆けつけクレームをし、折り返し連絡をくれるとのことになりました。
銀行員はもちろん「すいません」の一言も表情さえありません。これは私がほんとに嫌いなヨーロッパの文化です。
数時間後にKB BANKから結局一度振り込まれたものを変更はできないと言われ、全く謝罪もない銀行員とかなり喧嘩になりました。しかし結果変わらず、全てのお金を2度通貨変更の手続き料を取られ、チェコで使えないユーロ通貨になってしまいました。このユーロになったお金を3度目となる銀行手数料を払いチェココルナに替えるしかありません。
どさくさにごまかされてKB BANKから13万円程取られ、さらにユーロをチェココルナに交換するのにさらにお金がかかります。
いつもながら、手元に来るまでは何も信用できない。
チェコ、外国では常に理不尽なことがいつも起こることを再確認させられました。
ともあれ、この2週間のストレスから解放されました。
これにて、ロシア経済制裁がもたらした私への被害の報告を終わりにしたいと思います。
ここからは、今後プラハで情勢や現地の状況などに変化があればお伝えしていこうと思います。
あらためまして、私たちの最も大切である世界平和のため1日でも早くこの醜い争いが終結することを願っています。そして戦争により多大なる被害を今現在遭われているウクライナ現地の方々、その他様々な影響により苦しまている皆様に、本当に心よりお見舞い申し上げます。
それでは引き続き、頑張って一緒にサバイブし続けましょう。