〈前編〉“アーティストの新しい成功の形~パトロンをつくる~’’ サブスク型アートパトロンサービスって一体何?

アート思考

~株式会社IDEABLE WORKS HACKK TAG代表寺本大修さんインタビュー~

今回は前編後編と2記事にわたって去年新しくスタートしたサブスクリプション型アートサービス株式会社IDEABLE WORKS HACKK  TAG」(アイデアブルワークス ハックタグ)の代表である寺本さんにお話を伺います。

「HACKK TAG」はサブスクリプション型アーティスト支援サービスで、”スーパーファン” と呼ばれる人たちがアーティストに月額制で支援をするプラットフォームを提供しています。開始して間もないサービスにも関わらず、すでにまとまった支援を受けているアーティストもいることから今後のアーティストの新しい経済自立の形になると期待が集まっています。現在、作品制作だけの収益で生活できているアーティストはごく僅かで、大多数はアルバイトなどをしなければいけない状況に立たされています。HACKK TAGはそんなアーティストとアーティストを応援したいという隠れたファンの存在を繋ぎ、資金を送ることでアーティストの制作時間を確保する手助けをするというサービスです。

その代表である寺本さんは、もともと美術とは無関係の事業開発の分野で活躍されていました。そこからアートビジネスのどこに目をつけ、どのようなきっかけでHACKK TAGのサービスを始めたのか。さらに今後の展開、アートビジネスを起業する際の極意を伺っていきたいと思います。

株式会社IDEABLE WORKS HACKK TAG代表 寺本大修さん

・令和2年(2020年)11月3日(火)より提供開始された新しいサービスであるHACKK TAG(ハックタグ)ですが、このサービスを始める際に「これはいける!」と思った決定打は何ですか?

今でも「これはいける!」と確証を持っているわけではありません。事業を始めたときは「この挑戦をやってみたい」と思っていました。

この挑戦を始めるきっかけとなったひとつには、コロナによって生活者の精神的な変革が促されたことがあります。例えばコロナ禍で飲食店などが軒並み経営困難に陥る中で、クラウドファウンディングで自分の好きな味を失いたくないと考える人たちが投資行動をしているのを目にするようになりました。これは「自分の好きな何かが失われる可能性に直面した際に、自発的な貢献によってその楽しみを継続させようとした動きが顕在化した」と考えています。

それはアート業界でも同じことが言えます。コロナの影響はアート業界にももちろん大きなダメージを与え、アーティストの中には自分の活動を断念する人も少なくありません。アートは掛け替えのないものであるにもかかわらず、一度失ってしまうと二度と取り戻すことができない、脆さがあると考えています。そこで、このユーザーの自発的な投資のシステムを取り入れることができたら、新しいアート業界の支援の形になるのではないかと考えました。

趣味や趣向が細分化する中で、自分が好きなモノ、ヒトをもっと楽しめる世の中にできる、アーティストにとっても新しい成功モデルができる可能性を作っていると思っています。

・もともとアートと無関係の仕事をしていた寺本さんですが、どうしてアートビジネスを始めようと思ったのですか?

私自身が美術畑出身ではないので、いい意味で「その界隈のルール」にとらわれずに考えることができると思っています。美術の世界には目に見えないしきたりやルールがすごく多いと感じていますが、それを知らない状態というのをポジティブに捉え、全く新しい角度からアートビジネスに参加できるのもまた我々の強みであると考えています。

私が外の世界から美術を見ていると、音楽は大衆化されて多くの人に楽しまれていますが、一点もので高価な美術はいまだ高尚なものという位置付けで留まっているような気がします。そんな美術作品を、よりソーシャルで大衆が楽しめるものにしていきたいと考えています。実際私の周りのアート愛好家に聞いてみると「”アートを語る”という行為自体が難しくハードルの高いものになっていると感じる」と言う人が多いように感じます。これからはサービスを通し、アートを鑑賞して「これが素敵」とか「ハッピーな気持ちになる」という当たり前の感情を臆することなく表現できる社会を促していきたいです。良いと感じる作品を良いと言える環境が整っていれば、自ずとファンが自発的にアーティストの良さを広めることにもつながり、相対的にファンが増えると思います。アートの社会的使命や価値を壊さないままに、より楽しくアートを社会的にキュレーションしていく方向性にシフトしていけたらいいなと思っています。

アートの「クローズドで、希少で、理解の難しいもの」という考え方を変革することができるのは、我々だと思っています。

・HACKK TAGのサービスはアーティストの社会的価値を高めることにもつながると思うのですが、寺本さんにとってアートの社会的意義はどんなところにあると思いますか?また、今後アートはどのように変化していくと思いますか?

アートの語源を辿ってみると、「建築」や「技術」それらはtechniqueに語源があると聞いたことがあります。つまり、アートの本質的な価値とは社会でうまくいっていない課題や世の中で虐げられている人たちにフォーカスを当て、技術的に世の中に見せる表現にあるのではないかと思います。

なぜ人間はアートが好きなのか、アートが必要なのかを考えたときに、それは人間の創造意欲からきているものだと考えました。私が事業を起こした理由も「何かを作りたかったから」ですし、それは子供が遊びながら0から何かを作り続けるのと同じように、人間の本能的な欲求だと思っています。そして人がなぜアートを崇拝するのかというとそれが「創造物だから」で、そこからインスピレーションを受けるからだと思うんです。アートの存在意義の一つに、世の中の0から何かを生み出そうとする創造者たちに、アートという最先端の創造物でインスパイアさせ続けるということがあると思います。アートやアーティストは苦しいときに真っ先に手放されてしまうものですが、本当は人間の本質的に手放してはいけないものだと感じています。私たちのサービスは経済合理性の裏側にあるサービスかもしれませんが、これからの時代は「自分にとってだけ合理的なもの」に対してどれだけ没頭できるかということに価値を見出すよう、世の中が変化するのではないかと思っています。

そして、自分の考えていることを形に変えて表現するということは必然的に見る人が生まれ、社会的なものになると思っています。誰かに見てもらうことを意識しているか否かは関係なく、表現するという時点で誰かに見られることを強烈に意識せざるを得ず、同時にその表現は社会的なものになるので、全てのアートは社会的な存在だと言えます。

HACKK TAGのブランドポリシーに「自立と公益性」を掲げているのですが、この“公益性”の部分にはアートの社会性を引き出していくというテーマを込めています。HACKK TAGに所属するアーティストには、その活動の場としてサービスを利用してもらったり、社会現象を作る場としてサポートしていきたいと思っています。

株式会社IDEABLE WORKS HACKK TAG 

https://ideableworks.com

https://ideableworks.com/hackktag_lp_001(公式)

https://open.spotify.com/show/1LZBl7vrzoe2rWLW5xV9Ht?(Spotifiy)

https://www.instagram.com/hackk_tag/(Instagram )

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